新たな白毛ファミリーが日本に根付こうとしている。アオラキ(牡、田村、父ゴールドシップ)が7月3日日曜の函館芝1800メートルでデビューを迎える。祖母ジオペラハウス、日刊スポーツで馬名公募した母カスタディーヴァも白毛馬。ニュージーランドにルーツがある同馬は函館入り後も調整は順調。今日29日は池添謙一騎手(42)を背に最終追い切りを行う。

アオラキが歩けば、シャッター音が響く。2歳世代で2頭しかいない白毛馬の1頭が函館でデビューを迎えようとしている。雨粒が落ちる前の朝一番に、ウッドで真っ白な馬体を弾ませた。中川助手は「全体的に緩さはありますが、馬体は良くなっています。複雑な性格の馬じゃない。周りの2歳と比べてもおとなしいですね」と現状を語る。

G1・3勝の名牝ソダシなど、シラユキヒメから始まる系譜ではない白毛一族。ニュージーランドで06年に突如生まれた純白の祖母ジオペラハウスから始まる血脈だ。同馬の子をディアレストクラブの高樽秀夫代表がセリで購入し、日刊スポーツで馬名を公募して名付けられたのが母カスタディーヴァ。その初子は白い夢の続きを託された。

いつ見ても、汚れひとつ見当たらない。調教前後、そして午後の手入れ。毎日合計で1時間以上は洗い場にいる。中川助手は「どうしても汚れが目立ってしまう。白T(シャツ)に毎日カレーを付けられている感じです」と笑った。何度も馬体を洗うことで皮脂が落ちすぎぬよう、洗う箇所にも気を配る。高い美意識に愛情を込め、見ほれる白さを保つ。

白星を狙える仕上げを施す。最終追い切りには先週に続いて、池添騎手が騎乗する。中川助手は「明日追い切りをしてもらって、いい状態にもっていけると思います」と笑顔を見せた。期待感はまっさらなキャンバスのように無限大。ファン大注目の1頭が北都函館を沸かす。【松田直樹】

◆アオラキの血統 母は1勝。3歳時の17年6月に函館芝2600メートルの未勝利を勝った。3代母の半兄はオーストラリアの歴史的名馬マイトアンドパワー。近親にはディープインパクト産駒初の海外クラシック(仏1000ギニー)制覇ビューティーパーラー、豪G1・4勝のモシーンなどがいる超一流の牝系。また父のゴールドシップは、11年7月の函館芝1800メートルの新馬戦を勝ち上がった。