ディープインパクトのラストクロップが英ダービーの主役になった-。10日、アイルランドのレパーズタウン競馬場でディープインパクト産駒オーギュストロダン(牡2、A・オブライエン)が重賞初制覇を果たした。

制したのは愛チャンピオンS当日に行われる2歳重賞、KPMGチャンピオンズ・ジュベナイルS(G2、芝1600メートル、出走5頭)。13年にこのレースを制したオーストラリアは翌年の英ダービーを勝っており、クラシック競走の登竜門的な一戦だった。レース結果を受け、大手ブックメーカー各社はオーギュストロダンを来年の英ダービーへ向けた前売りオッズで単勝8・0~13倍の単独1番人気にしている。

同馬は19年に天国へ旅立った日本の最強馬ディープインパクトのラストクロップ(産駒の最終世代)。世界最大の生産者であるアイルランドの「クールモア」が繁殖牝馬ロードデンドロンを日本へ送り、ディープインパクトと交配させ、20年に誕生している。19年のディープインパクトの種付け頭数は24頭とされており、わずかなラストクロップの中から最初の重賞ウイナー誕生となった。

オーギュストロダンは母ロードデンドロンが16年のフィリーズマイル、17年のオペラ賞などを制したG1馬。母の1歳下の全妹は19、20年の愛チャンピオンS連覇などG1・7勝を挙げた名牝マジカルという血統になる。

6月のデビュー戦は不利があって2着に敗れたものの、2戦目で初勝利を挙げ、この日は名手ライアン・ムーアを背に1番人気に応え、2着キャロラインストリートに1馬身半差で重賞初制覇を果たしている。

管理するエイダン・オブライエン師は「彼は美しい馬体とかわいい性格の持ち主です。先頭に立つと遊んでしまいますが、満足しています。彼はいつも印象的な走りをしますね。おそらくフューチュリティトロフィーか、デューハーストS(いずれもG1)へ行くでしょう。十分な才能と素質を持っていて、おそらく今日からさらに研ぎ澄まされていきます。私たちは彼はギニー(2000ギニー)とダービーの両方(来年の英国クラシック2冠)を狙う馬だと思っています」と絶賛している。

オブライエン師は同じディープインパクト産駒サクソンウォリアーで17年にG1レーシングポストトロフィー(現在のフューチュリティトロフィー)を制覇。翌18年のクラシックでは英2000ギニーを制し、英ダービーで4着の経験がある。

大手ブックメーカーの「パディーパワー」社はレース前に15倍だったオーギュストロダンの英ダービー単勝前売りオッズをレース後、8・0倍に設定。現時点で、ディープインパクト産駒オーギュストロダンが来年行われる英愛クラシックレースの主役になったことは間違いない。