クラシックの登竜門、共同通信杯(G3、芝1800メートル、12日=東京)へ向けた最終追い切りが、8日東西トレセンで行われた。名伯楽国枝師が送り出す大器の相、ダノンザタイガー(牡)は2頭併せでさらっと息を整えた。前走東京スポーツ杯2歳S(2着)でわずかに逃した重賞タイトルを同じ舞台でつかみ取れるか? 国枝師の悲願である牡馬クラシック制覇へ歩みを進めたい。

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大器の相、ダノンザタイガーは馬場での運動時から軽やかな身のこなしと四肢の運びのなめらかさにセンスの良さを感じさせた。気持ちが高ぶるようなしぐさは一切見られず、どっしりと構える雰囲気は若駒離れしている。

美浦ウッドで古馬オープンのサトノエルドールと2頭併せ。2馬身半後ろから冷静に道中を運ぶと、余裕を持って併入した。時計は5ハロン68秒4-12秒1。国枝師は「動きは良かったよ。予定通り。もうできているし調整程度。いい感じだよ」と好感触を伝えた。今週は軽めの調整にとどめてもフットワークの躍動感は十分。好態勢が整った。

中間は週2本意欲的に速い時計を出してきた。川田騎手が駆けつけた1週前追い切りでは、ラストもしっかり動かして負荷をかけ、ハードな調教をこなしてきた。「中間はいい感じで体もできてきたし、実が入ってきている。前回は落ち着かないところがあったけど、だんだんとメンタルも良くなってきて馬に余裕がある」と、名伯楽は短期間での成長ぶりを評価する。めりはりの利いた走りからも心身の充実感が十分に伝わってきた。

厩舎悲願となる牡馬クラシック制覇へ。「自分が今までに管理したハーツクライ産駒では一番だと思う」。師の目にもクラシック級の素材であることに疑いの余地はない。いざ才能の証明へ。重賞タイトル獲得で今度こそ、堂々とクラシック候補に名乗りを上げる。【井上力心】

◆井上の目 馬なりでスッと相手に並びかけ、動かせばいくらでも動きそうな勢い。緩さがだいぶ抜け馬体のバランスも整ってきた。