G1週の有力馬の動きは「追い切りの番人」でチェック! フェブラリーS(G1、ダート1600メートル、19日=東京)は、大阪・岡本光男記者が、次代のダート王候補ドライスタウト(牡4、牧浦)を“深掘り”する。レモンポップの主戦でもあった戸崎圭太騎手(42)の評価は高く、2週続けて調教に騎乗すること自体が期待の表れ。追い切りの内容もグンとアップし、G1を戦える仕上がりになっている。

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1週前に続いて15日も、ドライスタウトの背には戸崎騎手の姿があった。「準備運動から乗せてもらった」というように先週に続いて厩舎からまたがり、雪が降る角馬場で入念に体をほぐす。担当の千田厩務員が「そこまでしてもらって…」と、恐縮するほどの力の入れようだ。その後、坂路へ移動しハッピースワニー(古馬3勝クラス)と併せ馬。馬なりで4ハロン54秒1-12秒8。先行する僚馬の右後ろで折り合い、最後は軽やかに半馬身抜き去った。

先週はCウッドでびっしりと追われ、6ハロン80秒0、5ハロン64秒3-12秒2の猛時計を出した。この時、戸崎騎手は「しっかり負荷をかけたし、これで変わると思う」と語っていたが、この日は予想通りの上昇度を見せた。「先週より反応が良くなり、ぴりっとして一段階上がった。今日は気持ち良く走ってもらおうと思ったが、いい感じだった」。2週続けて美浦から栗東へ駆けつけた鞍上も気分良さげだった。

今回のフェブラリーSにはレモンポップという戸崎騎手の手で根岸Sを制した馬も参戦する。「いい馬に乗せてもらっていたんだなと思う」と感謝の言葉を口にする。それにもかかわらず、ドライスタウトに騎乗するほど期待は大きい。「デビュー2戦目のオキザリス賞から乗せてもらい、全日本2歳優駿もとても強い内容で、楽しみな馬に巡り合えたと思った」。長期休養明けだった2走前の霜月S時も1週前追いに駆けつけ、仕上がり具合をチェックしたほどだ。ちなみに、この時は「休み明け感は否めない状態」(牧浦師)だったが、それでも快勝した。

主戦は「本当にいいフットワークをする」と、ストロングポイントを挙げる。体の可動域が大きく、前脚を大きく伸ばしてCウッドを走る姿は、19年皐月賞馬サートゥルナーリアを連想させる。「跳びが大きく、走りが素軽い」と牧浦師。確かに芝でも走れそうなイメージだ。もともとフェブラリーSは馬場が軽く、高速決着になりやすい。芝のスピード競馬にも対応できそうなフットワークは、強力な武器になる。状態アップに手応えを抱く戸崎騎手とのコンビなら、十分頂点を狙える。【岡本光男】

■戸崎 マイルの方がいい

ドライスタウトがダート1600メートル戦に出走したのは、21年Jpn1・全日本2歳優駿(川崎)のみで、JRAでは出走経験がない。戸崎騎手は「今までは1400メートルがベストだった」と話す。だが、前走のすばるS(ダート1400メートル)で直線半ばまで進路がなく、結果的に脚をためる形になったのが、今回へつながりそうだ。「いい経験になった。フットワークや体つきを見ても1600メートルの方がいいと思う」。距離に対する不安もない。

◆戸崎騎手のフェブラリーS成績 過去9戦で17年ベストウォーリアの2着が最高。ただ、4着以内には6度入っている。勝てば、岡部幸雄、C・ルメールに続く史上3人目の「東京ダート4重賞完全制覇(他に根岸S、ユニコーンS、武蔵野S)」となる。今年の相棒ドライスタウトはキャリア6戦で、勝てば16年モーニン、21年カフェファラオに並ぶ最少キャリアVとなる(97年G1昇格後)。