優勝賞金1000万ドル(約13億円)のG1サウジCを逃げ切ったパンサラッサ(牡6、父ロードカナロア、栗東・矢作芳人厩舎)の走りは世界を驚かせました。

馬券発売があった英国では13頭立て6番人気タイ。単勝の配当17倍という穴馬評価をあっさりと覆しました。

レース後の会見で矢作師は「今日は(ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌで2勝した一昨年の)ブリーダーズCでかぶったのと同じ帽子をかぶった」と勝利を呼び寄せる秘密の一端(?)を披露。英国のタイムフォームは「a124」として現在の世界トップ10となるレーティング124、あるいはそれ以上の能力の持ち主であることを認めています。

カントリーグラマー(単勝3・5倍で2着)とテイバ(同2・87倍で8着)という米国現役古馬のツートップにL・デットーリ、M・スミスという大ベテランを配して鉄壁の布陣でワンツーフィニッシュをもくろんだB・バファート師は普段は直線が長すぎると愚痴を漏らすことが多いのですが「今日は直線が短かった」と悔しそう。

最後に見せ場をつくったカントリーグラマーは昨年と同じくドバイに移動して3月25日メイダンのG1ドバイワールドC(ダート2000メートル)の連覇を目指し、テイバはこれ一戦のみで帰国となっています。

パンサラッサの次走は昨年優勝した芝1800メートルのG1ドバイターフ、もしくはダート2000メートルのG1ドバイワールドC。前者には昨年、パンサラッサと同着で優勝を分け合った英国のロードノース、日本からはG2京都記念で大復活したドウデュースなどが参戦する模様。

オールウエザーでヴィクトワールピサの優勝例はあるものの、ダートではまだ日本馬が勝っていない後者には前述のカントリーグラマーをはじめ、UAEで重賞連勝中のアルジェーズ、それに日本からは東京大賞典と川崎記念を連勝中のウシュバテソーロなどが出走を予定しています。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)