金太郎伝説のある南足柄と箱根をつなぐ「はこね金太郎ライン」が4月28日に開通し、金太郎が相撲の稽古をしたとされる足柄山(金時山)を自転車で越えるコースが誕生した。早速、連休明けの平日に行ってみた。


もともとは黒白林道、明神林道という林道で一般車両は通行不可となっていたが、18年から「県道731号 矢倉沢仙石原線」として整備開始。20年春の開通を目指したが、19年の台風19号の影響で21年まで開通が延期され、ようやくこのゴールデンウイークに開通の運びとなった。「はこね金太郎ライン」は愛称で1190件の公募の中から決定された。


はこね金太郎ライン
はこね金太郎ライン

起点は足柄大橋から足柄峠へ向かう県道78号(御殿場大井線)の矢倉沢の少し先のバス停「足柄古道入口」付近で、地蔵堂トンネルの手前。このあたりには似合わない立派なゲートと綺麗な道が出来上がっていた。仙石原までは10・9キロ(距離表示は11キロ)で、金太郎にちなんだのか、まさかり型の距離表示が100メートルごとにある。


「はこね金太郎ライン」起点手前
「はこね金太郎ライン」起点手前
「はこね金太郎ライン」の起点
「はこね金太郎ライン」の起点
「はこね金太郎ライン」の起点
「はこね金太郎ライン」の起点

序盤はほぼ直線の上りが続き、1・5キロで平均こう配8・1%と結構きつい。「夕日の滝」方面へ分岐する道と合流するとややこう配が落ち着くが、中盤から終盤へかけての5キロ弱が平均こう配7%台となってまたきつくなる。ところがピーク寸前でほぼ平たんとなり、このまま楽してゴールかと思いきや、最後の400メートルほどはやっぱり上らされる。


まさかり型の距離表示。これは1キロ単位のもので、小さいものは100メートルごとに現れる
まさかり型の距離表示。これは1キロ単位のもので、小さいものは100メートルごとに現れる
なごませてくれるゆるキャラ
なごませてくれるゆるキャラ
箱根らしく温泉につかるゆるキャラ
箱根らしく温泉につかるゆるキャラ

ピークの金時トンネルの手前に新しくできた標高約850メートルの「金時見晴パーキング」までは起点から8・3キロで平均こう配は6・8%。道幅が狭いところが多数あり対向車がふくれることもあるので注意が必要だが、大型車は通行禁止なので後方をそれほど気にすることがないのは安心材料だ。上り始めとなる県道78号の竜福寺交差点からここまでは15キロで平均こう配6・2%。


金時見晴パーキング。右奥が金時トンネル
金時見晴パーキング。右奥が金時トンネル

このまま先へ進み、金時トンネルを抜けると箱根町。下った先は仙石原交差点から上った先の、国道138号線に出る。こちらは南足柄ではないので、100メートルごとに出てきて愛着がわいてきたまさかり型の距離表示がないのは残念だが、道はもちろん綺麗に整備されていた。


金時トンネルを抜けると箱根町
金時トンネルを抜けると箱根町

再び金時トンネルへ上り返し、上ってきた道を快適なダウンヒル。途中の分岐は直進して地蔵堂・夕日の滝方面へ向かった。


地蔵堂・夕日の滝への分岐
地蔵堂・夕日の滝への分岐

南足柄市によると、平安時代中期の武将・源頼光の四天王のひとりである坂田金時(幼名金太郎)は、地蔵堂の四万長者といわれたお金持ちの娘の子として生まれ、産湯には夕日の滝の水が使われたという。またこの滝の下流には「金太郎生家跡」や「かぶと石」「たいこ石」など金太郎が遊んだとされる「遊び石」がある。


もうひとつ。滝の近くに「金太郎の力水」があるが、これは「元気な金太郎にちなんで」名付けられたらしく歴史的なものではないもよう。だが、地蔵堂水源のわき水を浄水処理してあり、飲めることができるとあるのでボトルへ補給できるのでありがたい。


夕日の滝。夕日に映える美しさから名づけられたと言われている
夕日の滝。夕日に映える美しさから名づけられたと言われている
童謡「きんたろう」の歌詞が刻まれた石碑。この左に金太郎の力水がある
童謡「きんたろう」の歌詞が刻まれた石碑。この左に金太郎の力水がある
金太郎の遊び石。手前がたいこ石、左奥がかぶと石
金太郎の遊び石。手前がたいこ石、左奥がかぶと石
地蔵堂・夕日の滝への入口。ここから静岡との県境の足柄峠まで3・7キロ
地蔵堂・夕日の滝への入口。ここから静岡との県境の足柄峠まで3・7キロ

しばらく周辺を散策して金太郎ムードを満喫。ランチは地蔵堂から下り10キロほど先にある、昨年9月に開業した「道の駅 足柄・金太郎のふるさと」で「トロとろとろ丼」(1480円)。食べ終わった後に「金太郎のチカラめし」(880円)があったのに気がついた。次回はこれと「きんたろう牛乳ソフト」(350円)にして金太郎づくしを締めようか。


「道の駅 足柄・金太郎のふるさと」で食べた「トロとろとろ丼」
「道の駅 足柄・金太郎のふるさと」で食べた「トロとろとろ丼」
「道の駅 足柄・金太郎のふるさと」にいた金太郎
「道の駅 足柄・金太郎のふるさと」にいた金太郎

ちなみに金太郎伝説は足柄峠を越えた静岡・小山市にもあり、南足柄から走ると次々と金太郎が出てきて楽しませてくれる。【メディア戦略本部デジタル編集部 石井政己】


※距離、こう配、標高などはRIDE WITH GPSの走行データによるもの