でんめおやじが9月28日、神奈川・山北町にある激坂・大野山にチャレンジした。天候は晴れ、気温は朝はやや肌寒かったが午後には28度まで上がり、ヒルクライムにはちょっと暑かったが、標高723・1メートルの絶景目指し汗びっしょりになってこう配10%が続く激坂を上った。

標高723・1メートルの大野山山頂。左手には富士山
標高723・1メートルの大野山山頂。左手には富士山
山北町・大野山地図
山北町・大野山地図

 神奈川県央の自宅を午前8時前に出発。小田原厚木道路の側道を追い風に乗ってぶっとばした後は、七国峠(平塚市土屋)から広域農道やまゆりライン(中井町〜小田原市)のアップダウンでウオーミングアップ。といっても、上りは時速10キロ以下と滅法遅いですが(^_^;。

 農道を脱出してからは県道717号のまっすぐで広い道をひたすら西へ。酒匂川を越える富士見橋ではその名の通り、右手に富士山ばっちり! 初めて走ったが、とても気持ちのいい道だった。

富士見橋からは富士山が見える
富士見橋からは富士山が見える

 南足柄市沼田付近からは伊豆箱根鉄道大雄山線(小田原〜大雄山)に沿って北上。終点の大雄山駅前には金太郎がいた。

大雄山駅前にある、熊にまたがる金太郎像
大雄山駅前にある、熊にまたがる金太郎像

 そう、ここは金太郎のふるさと。南足柄市のホームページによれば「最近では、童謡・金太郎の歌碑、金太郎力水、金太郎大明神、金太郎まさカリーパンなど、あらゆる場面で郷土のヒーロー『金太郎』を見かけることができるようになってきました」と伝説の地であることをPRしている。また、大雄山駅前の通りは「大雄山きんたろう通り」と公募によって2年前に命名されたばかりだ。

 大雄山駅のすぐ先の竜福寺交差点を左に曲がると、足柄街道。これを進むとやがて地蔵堂地区となり、金太郎生家跡、金太郎の遊び石や金太郎産湯伝説・夕日の滝などがある。さらに足柄街道を上ると、これまた急勾配の足柄峠を越え静岡県小山町に出るのだが、この日は途中まで上り、矢倉沢を右折。気持ちよく、ぐいー〜んと下って日本の滝百選のひとつでもある洒水の滝(しゃすいのたき)への入り口を過ぎると、国道246号の樋口橋交差点。ここを左へ曲がり、最初の交差点・安戸で反対車線に渡ると「大野山入口」のバス停がある。

大野山入口バス停
大野山入口バス停

 自宅からここまでは約61キロ。平均時速は19キロ台。多少のアップダウンはあったが、なかなかいいペースだ。

 さて、標識によると大野山のピークまでは6・7キロとある。いくら急こう配とはいえ、30分もあれば上れるだろう。ヤビツ峠(神奈川県秦野市)の11・8キロだっておやじのヘタレ足でも1時間はかからない。そう、思ったが、実際走ってみると、とんでもない坂だった。ドルトムントMF香川真司のCMじゃないが「ありえへん」。

最初は緩いこう配の坂
最初は緩いこう配の坂

 スタート付近はややきつめだったが、やがてこう配は多少緩やかになる。東名高速の高架を過ぎると分岐があり、左へ曲がると都夫良野(つぶらの)方面へ行けるらしい。

足柄ボクシングジム
足柄ボクシングジム

 そして、突如現れた足柄ボクシングジム。周囲の風景とのあまりの違和感にびっくり。

 2キロほど緩やかというより、おやじにとってはきつい方ではないぐらいの坂を上るとまた分岐が出てきた。標識によるとここからピークまでは4・7キロとある。ここが地獄の始まりだった。

大野山牧場まであと4・7キロ
大野山牧場まであと4・7キロ
道は狭く、こう配は急となる
道は狭く、こう配は急となる

 道は車がすれ違えないほど細くなり、こう配は立ち漕ぎじゃないと上れなほど急になった。

頭上はるかにガードレールが…
頭上はるかにガードレールが…

 歯を食いしばり、立ち漕ぎで汗びっしょりになって上る。ふと上を見上げると、遙かかなたにガードレールが見える。「この道の先はあれじゃないよね。きっと違う道だよね」と思いたいのだが、こんな山の中にガードレールがある道が何本もあるとは思えない。「あそこまで上るのか…」。

急こう配の坂道でも手打ちそばの店があった
急こう配の坂道でも手打ちそばの店があった

 こんな急こう配なのに、民家や店があることが信じられない。

心を打ち砕く看板
心を打ち砕く看板

 そして、すべての希望を打ち砕く看板が現れた。10%のカーブということは、インコースだと何%になるんだ。

急こう配は続くよどこまでも
急こう配は続くよどこまでも

 「ありえへん」坂をひたすら上り、左カーブはアウトコースへ回避。幸い、車は休日にもかかわらず、たまにしか通らなかったので助かった。

 足を着いてしまうと、この急こう配で自転車に乗るのは厳しい。とにかく上り続けるしかない。「来なきゃ良かったなぁ。というか、2度と来なくていいな。でも、そのためには最後まで足付きなしで上っておかないと。足付いたら、もう一度来なくちゃいけないからなぁ…」。

 時速は5〜6キロ。歩くのとたいして変わらない。

 遅々として進まないサイコンの距離表示をにらみ続け、上り続けること約50分。ようやく自転車で行けるところのピークにたどり着いた。も〜フラフラ。

駐車場手前にあった案内板。車両でいけるのはここまで
駐車場手前にあった案内板。車両でいけるのはここまで
ここからピークまでは車両進入禁止。堂々と歩けるのでほっとしたりして…(^_^;
ここからピークまでは車両進入禁止。堂々と歩けるのでほっとしたりして…(^_^;

 最後の急こう配は自転車を押して上る。そしてピークに出ると…

大野山ピークに自転車で来た! この日は富士山が綺麗に見えた
大野山ピークに自転車で来た! この日は富士山が綺麗に見えた

 富士山がど〜ん。絶景が出迎えてくれた。ふ〜ぅ…。汗びっしょりで上った甲斐はあったかな。登山者の方々はたくさんいたが、自転車は1人しかみかけなかった。

ここで乳搾りができるのかな?
ここで乳搾りができるのかな?

 帰りにピーク周辺に広がる牧場施設の「まきば館」へ寄ってみたが、ここは神奈川県立の乳牛育成牧場とあってか牧場定番のソフトクリームの類はなく、見た限りでは自動販売機で牛乳を売っているだけだった。

コーヒー牛乳はうまかった
コーヒー牛乳はうまかった

 140円のコーヒー牛乳をぐいっと一気飲み。濃くてうまかった。

 上りがこれだけきついということは、下りもきついということ。おまけに路面状態も悪く、快適なダウンヒルは楽しめない。結局、大野山入口バス停往復の約13キロを105分で、下りも含めた平均時速は7・7キロ。まさに苦闘のヒルクライムだったが、10%超の急こう配5キロ弱を足付きなしで上れたことで、よしとするか。【メディア戦略本部 石井政己】