これからはじまる日本一周の旅で行ってみたい場所はたくさんある。特に日本一周と言っているからには、東西南北の端っこには行ってみたい。車やオートバイと違って長い道程になるはず。ペダルをこぎ続けてたどり着いたとき、何を感じるのだろう? どんな感動が待っているのだろう? 想像すると胸が高なる。

これまでオートバイの旅で日本のいろんな端っこを訪ねてきた。E-Bike・自転車で行ける日本最北端の地といえば北海道の『宗谷岬』になるだろう。

僕が初めて宗谷岬へ行ったのは23歳のオートバイ日本一周のとき。稚内から海岸線を走り続け、先に宗谷岬を記す三角形の碑が見えたときはうれしかった。中学時代からいつか行ってみたい憧れの場所だったので「やった、ついにきたぜー!」感動で胸がいっぱいになった。それとは別に、日本最北の○○とうたった食堂や民宿、土産物屋がたくさんあることにビックリした。


2003年。初めて妻とふたりで日本最北端、宗谷岬に立つことができた
2003年。初めて妻とふたりで日本最北端、宗谷岬に立つことができた

日本の最東端『納沙布岬』に行ったのもその旅の時だった。「のさっぷ」という名前が特徴的だったのでよく覚えている。寒々とした荒野の道を走り続け、ようやくたどり着いた最東端の地。納沙布岬で最も強く記憶に残っているのが岬の近くにあった展望台。北方領土の資料館になっていて、望遠鏡をのぞくと島がすぐそばに見えた。北方領土の貝殻島までわずか3.7キロ。こんなに近くにあったのかと驚いた。


1994年に訪れた最東端の納沙布岬。旅資金10万円で日本一周をしている途中
1994年に訪れた最東端の納沙布岬。旅資金10万円で日本一周をしている途中

最北と最東端を訪ねたのが1984年。それから16年後の2000年に訪ねたのが最南端と最西端。インターネットで各地からリポート発信しながらの日本一周。これまでとは一味違う旅となった。

この時初めて念願の沖縄へ上陸。まだ沖縄本島と石垣島をつなぐカーフェリーで運航されていた時代だった。オートバイと一緒に石垣島へ上陸。その数日後、フェリーで日本最南端の有人島『波照間島』に渡った。

当時はお金がなかったので日帰り、短時間の滞在だったが、海がきれいだったことは覚えている。次の日本一周ではぜひ満天の星空を体験したいと思っている。


2000年。有人島としては日本最南端となる波照間島
2000年。有人島としては日本最南端となる波照間島

最西端の『与那国島』を訪れたのも同じ2000年の旅だった。フェリーにオートバイを載せて与那国島へ向かったのだが、とにかくそのフェリーが揺れた。僕はこれまで30回以上フェリーに乗っているが、間違いなくナンバーワンの揺れだった。石垣島で出会った旅人と一緒に乗ったのだが、その男が酔い過ぎて顔面蒼白(そうはく)になっていたことを覚えている。自分の顔は見ていないが、多分同じだったと思う。

島はリゾートというよりも、道の真ん中を与那国馬がのんびり歩いている、素朴な離島という感じだった。フェリーは週に2便だけ。おじいが経営する安宿に3泊、旅人とおじいと3人で毎晩泡盛で宴会。おじいが弾く三線は最高のBGM。今回の旅ではどんな旅人と出会えるのだろう。ただ、フェリーの揺れだけはいまも不安…笑【藤原かんいち】


2000年。最西端の与那国島からは東京よりも台湾の方が圧倒的に近い
2000年。最西端の与那国島からは東京よりも台湾の方が圧倒的に近い