藤原かんいちがE-Bikeでチャレンジする日本縦断3500キロの旅の模様を随時お伝えします。北上を続け、いよいよ旅も終盤に入ってきました。今回は福島~青森です。詳細なリポートは後日お届けします。

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6月6日

当初は次にステージ13「磐梯吾妻スカイライン」を走る計画だったが、2日間連続の雨の予報。そこで計画を変更、「磐梯吾妻スカイライン」を中止して、新たに「十和田湖奥入瀬ルート」を加えることにした。

朝起きて郡山のホテルの窓から外を見ると雨。朝から雨とは憂うつだ。上下雨具を着込む。自転車旅では足元が1番の問題、足を回転させ続けるので、完全防水の長靴などは履けない。そこであえて最初から濡れる予定でサンダルにする。

雨の中走り出す、今日もほぼ国道4号。気温11度。6月とは思えない寒さだ。指先とつま先が濡れているので痺れるように冷たい。寒いとさらにトイレも近くなる。道の駅やドラッグストアのトイレを借りながら地道に進んでゆく。溜まってきていた疲れ、雨走行、寒さなどから思うように距離がのびず、宮城県の白石まで進んだところで宿に入った。今回の旅で精神的に最もきつい1日だった。

■出発地/福島県郡山市〜宿泊地/宮城県白石市

■走行距離:81.9km

自転車も、荷物も、服も、全て雨に濡れ冷たくなっている
自転車も、荷物も、服も、全て雨に濡れ冷たくなっている

この日は丸一日冷たい雨が降り続いた
この日は丸一日冷たい雨が降り続いた

雨と寒さと疲れに負けて、81キロしか走れなかった
雨と寒さと疲れに負けて、81キロしか走れなかった


6月7日

今日も朝から雨。走り出すと乾いた雨具もあっという間にずぶ濡れ。体も一気に冷えてくる。今日は昨日ほど雨は強くなく、1時間ほど走ると小降りになってきた。車の多い仙台の中心部を避け、海よりの県道へ入って行く。

県道沿いのスーパーで少し前からTwitterで連絡を取り合っていた、日本一周旅人のタモンくんと待ち合わせ。少し遅れてやって来たタモンくんは、4年前に都内で会って以来だが、日焼けして別人のように逞しくなっていた。旅のチカラはやはりすごい。急ぎ旅なので30分も話せなかったが、旅人に会うとチカラをもらえる。まだ、20代、これからもやりたいことどんどん実現して欲しい。よい旅を。その後日本三景のひとつ、松島を右手に眺めながら北上。石巻市まで進んだ。今日も寒い1日だった。

■出発地/宮城県白石市〜宿泊地/宮城県石巻市

■走行距離:102.5km

国道4号をひた走る。雨宿りする場所は多い
国道4号をひた走る。雨宿りする場所は多い

4年ぶりに会った青年、タモンは完全に旅人になっていた
4年ぶりに会った青年、タモンは完全に旅人になっていた

日本三景の松島も重い雲に覆われていた
日本三景の松島も重い雲に覆われていた


6月8日

石巻で泊まった宿がとても良かった。オーナーの加藤さん夫婦がとても気さくで、楽しいおしゃべりに花が咲いた。また宿泊料金も安くて、個室にアメニティ付きで1泊2000円と超良心的。そして宿も廊下の壁には地元の観光ポスターなどが無数貼られ、とても賑やか。これは旦那さんの趣味らしい笑。オートバイ好きという共通点もあり、話しは尽きなかった。出発の時には、巨大なおにぎりまで持たせてくれた。令和の心温まる宿、石巻のビジネス旅館ダックは、思い出に残る宿となった。

東日本大震災で大きな被害を受けた国道45号は、海岸線のあちこちに巨大な堤防が作られ、コンクリートだらけになっていた。被害を受けたビルは保存管理され、周辺は公園として整備されている。工事中のところもまだまだ多い。海岸沿いにある広大な更地は今後どうなっていくのだろう…

■出発地/宮城県石巻市〜宿泊地/岩手県陸前高田市

■走行距離:102.4km

石巻でお世話になった、ビジネス旅館ダック。仲のいい加藤夫婦がオーナー
石巻でお世話になった、ビジネス旅館ダック。仲のいい加藤夫婦がオーナー

東日本大震災の被害にあったビルが残っている
東日本大震災の被害にあったビルが残っている

南三陸の商店街に立ち寄った
南三陸の商店街に立ち寄った


6月9日

朝イチで「奇跡の1本松」を訪ねる。津波に流されずに耐えたことから「奇跡の1本松」と呼ばれ、保護活動が続いたが、根が腐りついに枯死してしまった。その後、その場所に希望の象徴としてモニュメントが立てられた。最初に見たときはモニュメントとは知らず、ホンモノの木と見間違えていた(笑)現在は公園として整備され子供たちが、たくさん見学に来ていた。東日本大震災を知らない子供たち、どんな風に感じたのだろう。

国道340号で内陸へ向かう。徐々に雲が切れて、4日ぶりに青空が見えてきた。遠野は僕の両親の生まれ故郷。父親が眠るお墓があるので、花を買い、お寺に手を合わせ近況報告をした。父が亡くなったのは、いまの僕とほぼ同じ歳、思うことも多かった。天気がいいため走行距離も久しぶりに130キロ以上に延び、無事盛岡に到着した。

■出発地/岩手県陸前高田市〜宿泊地/岩手県盛岡市

■走行距離:137.4km

希望のシンボルとして立てられた「奇跡の一本松」
希望のシンボルとして立てられた「奇跡の一本松」

田園風景が広がる遠野
田園風景が広がる遠野

盛岡では名物のじゃじゃ麺を食べた
盛岡では名物のじゃじゃ麺を食べた


6月10日

起きるとまたしても雨。東北はまるで梅雨入りしたような空模様が続いている。天気予報は曇りマークなので、止むと信じてNEXTステージ「八幡平アスピーテライン」へ向かう。すると徐々に雨は小降りとなり、雲は流れ、隠れていた岩手山が姿を現した。やったー!標高が高くなるにつれ、青空は広がり、最高の天気になった。苦しい登り坂のはずなのに、絶景が次々に現れるので、辛さをそれほど感じない。人間は不思議な生き物だ。

県境を越えて秋田県へ。苦労して登った先に待っているダウンヒルを思う存分堪能して、鹿角にやってきた。今日はここまでと思っていたが、調子がいいので50キロ先の十和田湖まで行く事にする。今日二つ目の峠越え、発荷峠を超えると、新ステージに加えた「十和田湖」が見えてきた。東北の旅も終わりに近い。

■出発地/岩手県盛岡市〜宿泊地/青森県十和田市

■走行距離:141.2km

待望の八幡平アスピーテラインをE-Bikeで走る
待望の八幡平アスピーテラインをE-Bikeで走る

岩手県と秋田県の県境に到着した
岩手県と秋田県の県境に到着した

この日2つ目の峠、発荷峠を越えると十和田湖が見えてきた
この日2つ目の峠、発荷峠を越えると十和田湖が見えてきた


6月11日

十和田湖で宿泊したのは、管理人が常駐しない無人宿。建物や設備は古いが、宿泊料金がPayPayで払えたり、無料でコーヒーや食パン、ジャムなどか食べられたり。ある意味、新スタイルのホステルだった。コロナの影響からこのスタイルになったようだが、日本人の良心を信用しているから成り立つ宿。海外では想像できないだろう。

十和田湖の朝は霧に包まれ、とても幻想的だった。これまで見たどの十和田湖より美しかった。その後、奥入瀬渓流沿いの道を走る。E-Bikeの速度だとゆっくり景色を眺めながら走ることができるのがいい。さらに電動アシストがあるので、突然急坂が現れても気にならない。改めてE-Bikeの魅力を実感した。22時、八戸から北海道の苫小牧行きのフェリーに乗船。8時間後には、いよいよ北海道の旅が始まる。

■出発地/青森県十和田市〜宿泊地/八戸→苫小牧フェリー

■走行距離:93.9km

無人宿の冷蔵庫には無料の食料がいっぱい
無人宿の冷蔵庫には無料の食料がいっぱい

十和田湖の朝は幻想的だった
十和田湖の朝は幻想的だった

八戸から苫小牧行きのフェリーに乗り込む
八戸から苫小牧行きのフェリーに乗り込む