30日間で3700キロをE-Bike(YAMAHA WABASH-RT)で走り切り、佐多岬~宗谷岬の日本縦断を果たした、旅行家藤原かんいち。前例のないE-Bikeによるチャレンジ。運動不足の61歳の中年男にできるのか!? 一体どんな旅だったのか!? 激動の30日間を旅日記で振り返ります。


四国の剣山スーパー林道にはこんな石がゴロゴロしている
四国の剣山スーパー林道にはこんな石がゴロゴロしている

 Day11 2022/05/26

ゲストハウスのフカフカベッドのおかげで熟睡できた。ちなみに2日前のギックリ腰だが、その後も痛みは徐々に減り、かなり楽になっている。その前の尻痛はサドルカバーのおかげか、ほとんど気にならなくなった。体調の方はバッチリなのだが、今日、一番気になっているのが天気。今日の午後から徳島県中部に雨予報が出ているのだ。山奥のダート林道で雨に降られたら、道はドロドロヌタヌタ、最悪の状況になる。雨が降る前にステージ07の『剣山スーパー林道』を走り抜けたいと思い、早めに宿を出る。

地図で確認したところスーパー林道を走り終えて山を下りた勝浦に行くまで店はなさそうなので、買っておいた菓子パンをかじり、朝ごはん代わりにする。国道195号を1時間ほど走ると大きな橋が見えてきた。徳島県最大級の貯水ダム、長安口貯水池に架かる『出合橋』だ。橋を渡って国道193号に入り、香川方面へ向かう。


徳島県最大級の貯水ダム「長安口貯水池」にて
徳島県最大級の貯水ダム「長安口貯水池」にて
渓谷沿いに延びる国道193号を北へ進む
渓谷沿いに延びる国道193号を北へ進む

集落をいくつか越えると道は徐々に細くなり、山深い登り坂になる。しばらく進むと『剣山スーパー林道』東側入口が現れる。入口の先は未舗装路で『日本最長・剣山スーパー林道』と手描き文字の看板が立っている。時間は午前11時半、曇っているが雨は降っていない。写真撮影を終えると、スーパー林道へ突入だ。


いよいよ日本最長のダートロード「剣山スーパー林道」へE-Bikeで入って行く
いよいよ日本最長のダートロード「剣山スーパー林道」へE-Bikeで入って行く

林道には大きな石がゴロゴロ、さらに路面に深い溝ができていたり、思っていた以上に走りづらい。石や溝を避けながら進むが、時々避けきれず後輪が石に乗り上げたり、深い溝にハマったり。バランスを崩して転びそうになると、足を出して何とか踏ん張った。ハンドル操作や体重移動でバランスを取りながら進んで行く。

これまでオートバイで何度か走った経験があるので「林道走行なんて楽勝!」と思っていたが、大間違いだった。タイヤが細く、ペダルをこぎながら進んで行く自転車の運転は想像以上に難しく、また20kg以上の荷物もあって、なかなか距離が延びなかった。

ひと踏み、ひと踏み、走る形はカッコ悪いが、とにかく確実に進んで行くことに集中する。すると30分、1時間走り続けると、技術もそれなりに身についてくる。走るスピードも徐々に安定。ハンドルを支える腕、ペダルを踏み続ける脚、体力的にはきついが、景色を見る余裕も少しずつ出てくる。所々でE-Bikeを停めて景色を眺めたり、写真を撮ったり、後半は剣山スーパー林道を楽しめるようになった。


想像以上に荒れていたスーパー林道、E-Bikeでのダート走行は慣れるまで大変だった
想像以上に荒れていたスーパー林道、E-Bikeでのダート走行は慣れるまで大変だった
大自然の中を走るのは気持ちがいい
大自然の中を走るのは気持ちがいい
林道の向こう側には目の覚めるような絶景が広がっていた
林道の向こう側には目の覚めるような絶景が広がっていた

スーパー林道を走ること1時間半。長かったダートの先に舗装道路が見えてきた。旭丸峠だ。やったっ! ダートを走り切ったぞ。ヤッホー! とりあえず雨の降る前に、ダート走り切れてホッとする。ここからは下り坂なので楽勝と思ったが、道幅が狭く、急カーブが連続、さらに路面も荒れているため、気の抜けない走行が続いた。

上勝町まで下りると民家がポツポツと現れ、県道16号に出ると信号と自動販売機が現れ、ようやく山から下りてきたことを実感した。朝から7時間以上、何も食べていないのでハラペコ、おなかがグーグーなっている。何か食べたいがコンビニも食べ物屋も見当たらない。雨が心配なこともあり、急ぎ足で進んで行く。1時間近く走ると、ようやく道の駅が見えてきた。


スーパー林道の起点に到着。全線は走れなかったが、満足感があった
スーパー林道の起点に到着。全線は走れなかったが、満足感があった

何か食べようと思い、道の駅『ひなの里・かつうら』へ入って行く。喫茶の営業時間を見ると4時まで。いまの時間は3時50分、わあーっ、間に合わないか!? ダメ元でお店の人に聞くと、麺は無理だがピラフなら作れるというので、急いでお願いする。8時間ぶりに食べたピラフは胃袋に染み渡るようにおいしかった。


道の駅でようやく昼ごはんにありつく。大盛りのピラフを一気に食べきった
道の駅でようやく昼ごはんにありつく。大盛りのピラフを一気に食べきった

おなかいっぱい、大満足で店の外へ出ると、激しい雨が駐車場を濡らしていた。かなりの豪雨だ。スーパー林道の途中でこんな雨が降られたら、どうなっていただろう!? 早めに山を降りて良かったと心から思う。上下しっかり雨具を着込んで雨の中へ突入、予約している徳島の宿へ向かってペダルを回した。


■日付:2022年5月26日

■走行距離:109.6km

■ここまでの総走行距離:1,385km

■ルートマップ