メイシーズは1858年に創業された老舗デパート。LAのショッピングモールでも定番のデパートでしたが、店舗数を減らしています
メイシーズは1858年に創業された老舗デパート。LAのショッピングモールでも定番のデパートでしたが、店舗数を減らしています

「ウォルマート」や「シアーズ」も

 日常的にオンラインショッピングを利用する人が増え、ショッピングモールの集客力は年々減少傾向にあると言われる中、大手デパート「メイシーズ」が年内に全米で100店舗を閉鎖することを発表。さらに量販店大手「ウォルマート」や「シアーズ」も昨年から大量閉店を進めており、アメリカの小売業界は危機的状況に直面していると言われています。郊外では店舗が埋まらず閑散としたショッピングモールも珍しくなく、メイシーズやシアーズの撤退でモールそのものの閉鎖も余儀なくされています。

かつては日本人観光客で溢れ、一世を風靡したアバクロンビー&フィッチも、今は売り上げが伸び悩んでいます
かつては日本人観光客で溢れ、一世を風靡したアバクロンビー&フィッチも、今は売り上げが伸び悩んでいます

「アバクロ」や「Jクルー」も苦戦

 人気ブランドも例外ではなく、ショッピングモールを基盤に展開するアパレルブランドはどこも苦戦を強いられ、閉鎖ドミノが起きています。「メイドインLA」で人気を博したアパレルブランド「アメリカン・アパレル」が昨年2度目の破産を申告。かつて日本人に大人気だった「アバクロンビー&フィッチ」も先月、米国内の60店舗を閉鎖すると発表しました。また、カジュアルブランドとして若者に人気の「アメリカン・イーグル」や軽い合成樹皮を使った機能性とファッション性で大ヒットした靴ブランド「クロックス」も同様に店舗数を減らしているほか、「ザ・リミテッド」「BCBG」「Bebe」などかつてはどのショッピングモールにも入っていたブランドもほとんどの店舗を閉鎖し、モールからその姿を消しています。幅広い層に支持されてきたファッションブランド「Jクルー」は、4月に大量リストラを発表しており、今後は店舗の大量閉鎖が噂されています。

ケイト・スペードを買収したコーチは、1941年創業の人気ブランドです
ケイト・スペードを買収したコーチは、1941年創業の人気ブランドです

「コーチ」が「ケイト・スペード」買収

 そんな中、日本人女性にも人気のバッグブランド「コーチ」が、ファッションブランド「ケイト・スペード」を総額24億ドルで買収するという衝撃のニュースが先月飛び込んできました。バッグや財布、時計やiPhoneケースなどの小物から洋服まで幅広い商品展開をするハリウッドセレブにも人気が高いケイト・スペードを買収した背景には、インターネット通販との競争が激しくなる中で若者に認知度の高いケイト・スペードのブランド力を利用する狙いがあったと言われています。大手ブランドと言えでも経営が苦しい状況は変わらず、今後はどんな販売戦略を行うのか、この買収は業界でも注目を集めています。

生き残りかけ夏商戦が始まります

 これからの季節は小売業界にとっても消費者にとっても夏商戦で盛り上がる時期。夏の到来を意味する5月最終月曜日のメモリアルデー(戦没者将兵追悼記念日)と7月4日の独立記念日前後には毎年大規模なセールが行われるため、多くの人がショッピングモールに足を運ぶことが期待されています。多くの小売店は生き残りをかけてこの夏を乗り切るための熱い戦いを繰り広げているので、夏休みにアメリカ旅行する方はお得に買い物ができるチャンスですよ。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も)