抹茶入り緑茶のペットボトルはアメリカ人にも人気。ショウガ入りなどフレーバー入りもあります
抹茶入り緑茶のペットボトルはアメリカ人にも人気。ショウガ入りなどフレーバー入りもあります

 和食がユネスコ無形文化遺産に登録されてもうすぐ4年。ロサンゼルス(LA)にはお寿司からラーメンまでたくさんの日本食レストランがあり、日本食はとても身近な存在になっています。ひと昔前までは日本食は高級というイメージが強く、食材を買おうにもLA市内にいくつかある日系スーパーまで足を運ばなければならず、特別な物だと思われていました。それが最近では、回転寿司やフードコートなどでお手軽に食べられる日本食レストランも増え、普通のスーパーマーケットでもカリフォルニアロールや寿司などが買えるようになるなど日本食がより身近な存在になっています。

雑誌でもLAのおいしい日本食が特集されるほど和食はブームです
雑誌でもLAのおいしい日本食が特集されるほど和食はブームです

 アメリカのスーパーマーケットでは、日本、韓国、中国やタイなどをひとまとめにしたアジアンフードコーナーがありますが、今では日本食がその棚の多くを占めるようになり、様々な食材を手軽に購入できるようになってきました。その一部を紹介すると、インスタント味噌汁、のり、乾燥わかめ、醤油、サッポロ一番、日清カップヌードル、粉わさび、テリヤキソースなど。他にもポッキーやかっぱえびせんなどのお菓子や日本酒などが並ぶお店もあります。醤油はSoy Sause(直訳すると大豆ソース)の名で調味料として立派に認知されており、田舎のマーケットでもキッコーマンだけは手に入るなんて言われています。また、味噌汁の具として人気が高い豆腐は、かつてはアメリカ人が嫌いな日本食NO.1と言われるほど嫌悪されていましたが、今では健康食として認知され、冷蔵コーナーには必ず並んでいます。ただ、日本人のように冷ややっこにして食べる習慣はなく、フルーツと一緒にミキサーにかけてシェイクにするなどアメリカ独自のレシピが開発されているのも面白いところ。また、豆腐と並んでかつては黒くて気持ち悪いと言われた海苔も、今では巻き寿司にはなくてはならない食材として人気です。海藻はダイエット効果もあると言われることから、わさびなどの味付け海苔をスナック代わりに食べる人もいます。

スーパーの棚にはインスタント味噌汁から味付け海苔、カップヌードルなどが並んでいます
スーパーの棚にはインスタント味噌汁から味付け海苔、カップヌードルなどが並んでいます

 また、野菜コーナーに行けば、「Shiitake Mushroom(しいたけ)」や「Daikon(大根)」と言った日本の野菜も売られていますし、少し高級なスーパーやステーキ店などではWagyu Beef(和牛=日本在来の牛をもとに品質改良されたもの。その多くがUS Wagyuと言われるアメリカ産)が一つのブランドになっています。お茶のコーナーにはGreen Tea(緑茶)のティーバックや今LAで大人気の抹茶の粉が並んでいますし、ジュースコーナーにもお茶のペットボトルが売られています。時にはピーチなどのフレーバー入り緑茶や甘味料が入った甘いお茶もあり、文化の違いを感じさせます。

スーパーのデリには、寿司コーナーもあり、お寿司はもはや気軽に庶民が楽しめるものになっています
スーパーのデリには、寿司コーナーもあり、お寿司はもはや気軽に庶民が楽しめるものになっています

 では、日本食レストランではどんな料理が人気なのでしょう。昔はてんぷら、寿司、テリヤキチキンが日本食の代表格でしたが、最近はラーメンがブームになるなど多様化しており、うどんやそば、牛丼、焼き鳥、お好み焼きまで様々な日本食が楽しまれています。そんな中でも多くの人が注文するのは、枝豆と味噌汁。枝豆はスーパーで冷凍ものが売られているほどの人気で、居酒屋だけでなく、寿司屋でもお寿司と一緒に枝豆を食べるのがLA流です。また、味噌汁はMiso Soupと呼ばれ、健康食として親しまれています。

Tofu(豆腐)は健康食として人気。日本では想像もつかないレシピが印刷されたパッケージですが、中身はれっきとした本物です
Tofu(豆腐)は健康食として人気。日本では想像もつかないレシピが印刷されたパッケージですが、中身はれっきとした本物です

 リトルトーキョーやリトルオーサカなどLAの日本人街は大勢のアメリカ人で賑わっており、次々と新しいお店もオープンしています。LAではまだまだ日本食ブームは続きそうです。日本とは一味違ったLAならではの和食を楽しんでみるのも面白いですよ。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)