世界最大のファーストフード・チェーンとして知られるマクドナルド
世界最大のファーストフード・チェーンとして知られるマクドナルド

アメリカのジャンクフードの代表的存在として知られるマクドナルドが、健康志向にかじ取りをして話題になっています。マクドナルドといえば、2004年に公開された1日3色1カ月間マクドナルドだけを食べ続けるとどうなるか監督自らが体験したドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」でも知られるように、どちらかというと肥満や不健康というイメージが強く、マクドナルドで提供される様々な食材には人工調味料や大量の砂糖、保存料や着色料が使用されていることは周知の事実。ネットでは「長期間放置したハンバーガーが腐らない」などとする記事や検証画像が多数公開されており、もはや「マクドナルドは腐らない」というのは有名な話です。

ハンバーガーに人工調味料や保存料、着色用などを使っていないことをアピール(写真はマクドナルドの公式サイトより)
ハンバーガーに人工調味料や保存料、着色用などを使っていないことをアピール(写真はマクドナルドの公式サイトより)

しかし時代は健康ブームであり、ロサンゼルス(LA)ではマクドナルドと同じ価格帯でありながらも冷凍肉を一切使っていない大手チェーン店インアンドアウトが大人気ですし、「グラスフェッド(自然環境で牧草飼育された牧草牛)」のみを使ったハンバーガーや新鮮な食材のみを使ったグルメバーガー、食物由来の代替肉ビヨンド・ミートを使ったハンバーガーなど健康志向のハンバーガー店が次々とオープンしてどこもにぎわっています。そんな中で時代と逆行するマクドナルドは苦戦を強いられており、この2年間で多くの店舗が閉店しているといわれています。安くて手軽に食べられるだけのマクドナルドにはもはや魅力はなく、報道によると2016年に全米で1万5828店あったフランチャイズ店は2018年には1万3948店までに減少しているといいます。ここカリフォルニアはそれでも全米最大の1295店舗がありますが、消費者の健康志向が高まる中、ファーストフードであっても新鮮な食材を使ったお店を多くの人々が求めていることの顕著な表れだといわれています。

LA郊外にある全米最古のマクドナルド店では、健康志向から現在は販売が中止されている揚げたアップルパイが唯一販売されていることで人気
LA郊外にある全米最古のマクドナルド店では、健康志向から現在は販売が中止されている揚げたアップルパイが唯一販売されていることで人気

そんな中、マクドナルドは代表的なクラシックバーガー7種類で食品添加物の使用を中止すると発表したのです。カビが生えるのを防ぐためにバンズに保存料を使っていただけでなく、チーズやソースにもソンビル酸などのいくつもの保存料を使っていたそうですが、今後はビーフパテやチキンナゲットなども含めて人工調味料や着色料、保存料を使うことをやめるとのこと。さらに、冷凍牛肉から生鮮肉に切り替えるなどより健康志向の商品提供を進めているとしています。これによって、ハンバーガーやチーズバーガーのみならず人気のビッグマックも健康的で安心して食べられるということですが、いかにもジャンクフード大国アメリカらしく、一部のファンからは「健康志向なんて求めていない」といった声も上がっているようです。ファーストフードにも健康志向が求められる時代において、ジャンクフードに未来はあるのでしょうか。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)