映画の都ハリウッドには、スターの手形や足型で有名なチャイニーズ・シアターなど歴史ある老舗映画館から最先端の技術を搭載するモダンなシネマコンプレックス(シネコン)まで様々な映画館があります。近年はNetflix、Amazonプライムなどストリーミングサービスの台頭で映画館で映画を観る人が減少することが懸念されていますが、ここロサンゼルス(LA)ではまだまだ多くの人が映画館で映画を楽しんでいます。そんなLAにある数あるランドマーク的存在の映画館の中でも、アークライトはハリウッドの隠れ家的な映画館として知られています。

シネマ・ドームはレトロな看板が時代を感じさせます
シネマ・ドームはレトロな看板が時代を感じさせます

ハリウッドの映画館と言えばチャイニーズ・シアターやその斜め向かいにある1926年に劇場としてオープンし、現在はディズニーの専属映画館となっているエル・キャピタン・シアター、1922年オープンのハリウッドの黄金期を支えたエジプシャン・シアターなどが有名ですが、アークライト・シネマも実はLAの映画ファンの間では人気が高い映画館のひとつです。2002年オープンの比較的新しいシネコンですが、1963年にオープンし、98年にはロサンゼルスの歴史文化財として登録されている、ゴルフボールのような形をした隣接するドーム型のシアター「シネマ・ドーム」も2年の改築を経てアークライトの一部としてオープンしており、ここは映画ファンの間でも知る人ぞ知る映画館。

ドーム型のシネマ・ドームと隣接するアークライト・シネマは2002年オープンの近代的な映画館
ドーム型のシネマ・ドームと隣接するアークライト・シネマは2002年オープンの近代的な映画館

アークライトでは映画のプレミアなどのイベントが行われることも多く、大作からインディペンデント系の小規模作品まで上映しており、セレブの映画デートスポットとしても知られているので、運が良ければセレブと遭遇できるかもしれません。

ドームの裏側は近代的な建物となっており、立体駐車場にレストランやヘアサロンなども隣接されています。映画館のロビーはどこかノスタルジックな雰囲気でギフトショップやレストラン、バーもあり、映画の前後に食事を楽しむこともできます。

落ち着く雰囲気のロビーには正面向かって右手にレストラン、左手に小さなギフトショップとコーヒーショップもあります
落ち着く雰囲気のロビーには正面向かって右手にレストラン、左手に小さなギフトショップとコーヒーショップもあります
どこかノスタルジックな雰囲気を感じさせる館内
どこかノスタルジックな雰囲気を感じさせる館内

また、バーでお酒を注文する際に「To Go(テイクアウト)」と言うとプラスチックのカップに入れてくれるので、座席に持ち込んで映画を観ながらお酒を楽しむこともできます。館内は座り心地の良い座席で傾斜もあるので観やすい作りですし、全席指定で事前にオンラインでチケットを購入することができるため、混雑しそうな人気作品でも事前に席を抑えておけば気軽に観られるのも人気の秘訣です。

映画のポスターの展示もおしゃれ
映画のポスターの展示もおしゃれ

歴史的価値のあるシネマ・ドームでは様々な映画の撮影も行われており、ロン・ハワード監督の「フロスト×ニクソン」(08年)ではハリウッド映画のプレミアシーンの撮影に使われている他、ドラマ「メルローズ・プレイス」や映画「キアヌ」(16年)などの撮影も行われています。また、7月に全米公開されるブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオのW主演で話題のクウェンティン・タランティーノ監督の新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の撮影も行われており、舞台となる1969年のハリウッドの雰囲気がシネマ・ドームと共に完璧に再現されているとして話題です。

タランティーノ監督の新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の予告編に登場するシネマドーム(画像は公式予告編より)
タランティーノ監督の新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の予告編に登場するシネマドーム(画像は公式予告編より)

現在はハリウッドの他にもサンタモニカやカルバーシティ、パサデナなどにもチェーン展開しており、ロビーには話題作の撮影に使われた衣装や小道具が展示されていることも多いので、他の映画館と比べると若干チケットは高めですが、映画好きにはおすすめの映画館です。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)