レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演で話題のクエンティン・タランティーノ監督の新作映画「ワンスアポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が26日に公開され、1969年8月9日にロサンゼルス(LA)で起きたカルト指導者チャールズ・マンソン率いるカルト集団マンソン・ファミリーによる女優シャロン・テート殺害事件が再び脚光を浴びる中、もう一つの殺人事件の現場となった邸宅がこのほど売りに出されて話題になっていました。ある不動産業者によってこのほど売りに出されたのは、テートと友人3人を含む5人が殺害された翌日、スーパーマーケットを経営していた実業家のレノ・ラビアンカさんとその妻ローズマリーさんがマンソン・ファミリーによって殺害された邸宅でした。

ロスフェリッツの閑静な住宅街の3311ウェイバリー・ドライブに佇むこの家が、50年前に全米を震撼させた事件の現場となった場所です
ロスフェリッツの閑静な住宅街の3311ウェイバリー・ドライブに佇むこの家が、50年前に全米を震撼させた事件の現場となった場所です

LAダウンタウン北部のグリフィスパークにほど近い丘の上にある邸宅に押し入ったマンソンは、自ら夫妻を縛り上げた上でその場に放置。その後、マンソン・ファミリーのメンバー3人が現場を訪れ、夫妻を刺殺しました。殺害後に夫妻の血で「ブタに死を」「ヘルター・スケルター(マンソンが白人と黒人による最終戦争の予言と主張したビートルズの楽曲)」などの文字を壁や冷蔵庫に殴り書きしていたといわれています。報道ではマンソンと夫妻の間に関係は一切なく、上流階級の住む地域で無作為に選ばれたという説のほか、マンソンが頻繁に出入りしていたことがわかっている隣の家を狙っていた可能性も指摘されていますが、なぜこの家が殺害現場に選ばれたのか明らかにされていません。事件から半世紀が経ち、その間にテート殺害事件の現場となった家は取り壊されて今は跡形もありませんが、この邸宅はこの50年間で何度か所有者が変わったものの、外壁が新しくなった以外は1969年当時と変わらぬまま残っていたといいます。約500平方メートルの敷地に建つ邸宅には2つの寝室と2つの浴室、プールもあり、LAの街が眼下に広がる展望が魅力だといいます。

塀に囲まれた広大な敷地の中は通りからは見ることができませんが、自宅からはLAが一望できるといいます。
塀に囲まれた広大な敷地の中は通りからは見ることができませんが、自宅からはLAが一望できるといいます。

この邸宅が売りに出されるのは20年ぶりですが、地元メディアの報道によると、20年間ここに住んでいた現在の所有者がリタイアに備えて、たまたまこのタイミングで売りに出しただけだとのことで、198万8800ドルの値がついていた家には多くの問い合わせがあったといいます。ロサンゼルス・タイムズ紙などによると、市場に出てからわずか2週間で販売が決まり、購入したのはトラベル・チャンネルの人気シリーズ「ゴースト・アドベンチャーズ」で司会を務めるゴースト・ハンターのザック・バガンスでした。LAに長年住んでいても通りの名前を聞いたことがないほど閑静な住宅地にあるため、とても静かで平和な環境にあるこの家で、昔何が起きたのか気にする人は誰もおらず、景観の良さに多くの人が魅力を感じる家だと不動産業者は語っていましたが、バガンスにとってはこの家で起きた事件そのもの、そして内部が事件当時のままほとんど変わっていないことが購入の決め手になったと言います。番組の撮影に使用するのか、実際にここで家族と共に暮らすのかは明らかにされていませんが、「ゴーストとコミュニケーションを取ることができる」と語るバガンスを惹きつけたことだけは間違いないようです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)