インポッシブルバーガーはファストフード店でも人気メニュー

アメリカでは近年、健康や動物愛護、環境問題への配慮などからビーガン（完全菜食主義者）が急増していますが、それに伴って「肉もどき」とも言えるフェイク食品が次々と誕生しています。肉や野菜を食べない野菜中心のベジタリアンと違ってビーガンは、卵や乳製品はもちろんはちみつなど動物性食品を一切口にしません。そのため、ヘルスコンシャスな人が多いロサンゼルス（LA）では、スーパーからレストラン、ファストフード店まで様々な場所で動物性食品を使わない「フェイク食品」をたくさん見かけるようになりました。日本にも上陸している完全植物肉「ビヨンド・ミート」を筆頭にフェイクフライドチキンなど肉を中心に乳製品や卵までLAの街で見かけるフェイク食品を紹介します。

本物の肉にそっくりなビヨンドミートはスーパーマーケットでも売られています

●ビヨンド・ミート

人工肉とも呼ばれる植物由来の代替肉ブームの火付け役となったのが、2011年に創業したLAのベンチャー企業が手掛けるフェイク肉「ビヨンド・ミート」。これまでも大豆やエンドウ豆などを原料にした代替肉はありましたが、ビヨンド・ミートの特徴はその名前の通り「肉を超えた肉」と言われるほど牛肉を完全に再現していること。見た目から焼いた時の肉汁まで「本当に植物由来？」と思うほどの完璧なハンバーガー用パテは、今ではバーガーキングやカールスジュニアなどのファストフード店でもメニューに取り入れられています。また、ビーフパテ以外にもビヨンド・ソーセージなどのフェイク肉が販売されています。

七面鳥の丸焼きを再現したトーファーキーとロースハム

●トーファーキー

これからホリデーシーズンにかけて多くの家庭で七面鳥の丸焼きを食べる機会が増えるアメリカでは、「Tofu（豆腐）」と「Turkey（ターキー＝七面鳥）」をかけ合わせた「トーファーキー」なる植物由来のターキーの需要が高まります。フットボール大の塊で見た目も七面鳥の丸焼きに似せたトーファーキーは、スタッフィングと呼ばれる米をベースにした詰め物やグレービーソースもついた冷凍食品。原材料は植物由来ですが、雰囲気はターキーを食べている気分になれるため、11月末の感謝祭の前にはスーパーで品薄になるほどの人気。フェイクの大きなハムの塊「ローストハム」も売られています。

フライドチキンもフェイクの時代

●フェイクフライドチキン

ケンタッキー・フライドチキンが、ジョージア州アトランタの店舗でフェイクのフライドチキンの試験販売を始めましたが、LAでは壊滅的な地球温暖化を食い止めるために肉の消費を減らす取り組みがトレンドとなりつつあります。LAではフードトラックでも食べられるほどフェイクのフライドチキンは身近です。

フェイクの卵はボトル入りの液体

●ジャストエッグ

食物由来の卵「ジャストエッグ」は、ボトルに入った液状のフェイク卵。目玉焼きを作ることができませんが、スクランブルエッグやパンケーキなどに使うことができます。こちらはビーガン以外にも卵アレルギーの人にも人気があり、他にも乳製品を含まないマヨネーズ「ジャストマヨ」やドレッシング、クッキーなども販売されています。ちなみに、これで作ったスクランブルエッグは見た目は本物と区別がつかないほどそっくりです。

アボカドやココナツオイルを使ったバターの代替品には乳製品は一切含まれていません

●食物由来のバター

これまでバターの代替品としてはマーガリンが代表的でしたが、トランス脂肪酸を含むマーガリンは最近はあまり人気がありません。そこで注目されているのが、アボカドオイルやココナッツオイルを使ったトランス脂肪酸フリーの植物由来のバターです。使用感はバターよりもマーガリンに近く、色もバターに近くてリアル感がある商品が増えています。

細かく砕いたカリフラワーはライスの代替品として大人気。カリフラワーライスを使ったピザも販売されています

●カリフラワーライス

ライスの代替品として注目されているのが、カリフラワーを細かく砕いてライスに見せかけたカリフラワーライス。低糖質のカリフラワーライスは、主食のライスやパン、麺などの代わりとして炭水化物を控えている人たちに大人気。見た目もライスに近く、スーパーで冷蔵や冷凍で売られており、サラダとして利用するだけでなく、お好みの具材と一緒に炒めてフライドライス（炒飯）にするのが人気です。

アーモンドミルクはハリウッドセレブにも人気

●アーモンドミルク

牛乳の代替品としては豆乳が有名ですが、最近はアーモンドミルクやライスミルク、カシューナッツミルクなど様々な種類の代替牛乳がスーパーマーケットに並んでいます。その中でも健康や美容に良いと言われるアーモンドミルクの売り上げは年々増えており、スターバックスからもアーモンドミルク・ラテが発売されるなど、外食産業でも取り入れるお店が増えています。ちなみに、ココナッツミルクを使ったビーガンアイスクリームも近年人気があります。（米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も）