感染再拡大で再びロックダウンの可能性が浮上する中、街から人が消える可能性も(写真は今年3月中旬のロックダウン直前の様子)
感染再拡大で再びロックダウンの可能性が浮上する中、街から人が消える可能性も(写真は今年3月中旬のロックダウン直前の様子)

日本でも新型コロナウイルス感染者が過去最多を更新して第3波の到来が取りざたされていますが、ここロサンゼルス(LA)も19日に3月に感染拡大が始まって以来最多となる1日の新規感染者数が5000人を突破し、「非常に危険な状態」と専門家たちが警告を鳴らしています。夏以降減少傾向だった感染者数も入院患者数も11月に入って急増していることを受け、カリフォルニア州のニューサム知事は19日に州内の大多数の地域で夜間外出禁止令を発令。感染が拡大しているLAなど南部地域では21日から1カ月間にわたって午後10時から翌朝5時までの外出が禁止されることになりました。これによって食料品や医薬品を扱う店以外は10時までに閉店しなければならず、エッセンシャルワーカー(生活に欠かせない職に従事している人)や病院など緊急を要する外出以外は基本的に認められなくなります。ただし自宅周辺のランニングや犬の散歩等は除外されるようですが、自宅での集まりは夜10時以降禁止されることになります。

観光業界にとっては厳しいホリデーシーズンとなりそうです
観光業界にとっては厳しいホリデーシーズンとなりそうです

LAでは10月28日から11月10日の間に新規感染者数が68%増となったことを受け、「この数週間は不要不急の外出を避け、できる限り自宅に留まるように」と警告が出されていましたが、26日には感謝祭の4連休を迎えることから人の移動や外出を止めるため、飲食店やバー、ワイナリー、食料品や医薬品を除く小売店の営業を午後10時から翌朝6時まで禁止することが発表されました。さらにLAでは州の夜間外出禁止とは別に、5日間の新規感染者数の平均が4000人を超えるか入院患者数が1750人を超えた場合は即座に飲食店やバーの営業をデリバリーとテイクアウトに限定する措置を取ると発表。また、5日間の平均感染者数が4500人を超えるか入院患者数が2000人を超えた場合は、3週間のロックダウンが再び行われることになりました。このままの勢いで感染者が増え続けた場合、早ければ22日にもロックダウンが実施される可能性が浮上しています。その場合、食料品や医薬品など生活に必要不可欠な買い出し以外の外出は禁止され、必要不可欠ではない全てのビジネスは閉鎖され、リモートワークを行うよう要請されます。飲食店はテイクアウトとデリバリーのみ営業が可能ですが、小売店やショッピングモール、ヘアサロン、ジムなどは再び閉鎖の対象となり、3月に逆戻りすることになります。

スーパーマーケットではロックダウンに備えて再びトイレットペーパーや洗剤、冷凍食品などの品薄が始まっています(写真は今年3月中旬のロックダウン直前の様子)
スーパーマーケットではロックダウンに備えて再びトイレットペーパーや洗剤、冷凍食品などの品薄が始まっています(写真は今年3月中旬のロックダウン直前の様子)

今年の感謝祭は大人数で集まることを避けて旅行や帰省などの予定も取りやめるよう求めていますが、予定通り家族や友人らと集まって祝うという人も少なくないようです。ただ、夜間外出禁止令が出されたことから深夜までのパーティーは行えず、また毎年恒例の感謝祭の深夜から始まる一大セール「ブラックフライデー」も翌朝まで行えないことから大きく様変わりすることは間違いありません。毎年、感謝祭の夕食後に買い物に出かけていた人たちも今年は朝までは自宅で静かに過ごすこととなりそうです。

ニューサム知事は「大流行が始まって以来経験したことがない速度でウイルスが広がっている」と警戒を強めていますが、医療崩壊の危機も指摘され始めており、今年は厳しいホリデーシーズンを覚悟せざるをえない状況に追い込まれているようです。

ステイホーム命令が完全に解除されるにはまだまだ時間がかかりそうです
ステイホーム命令が完全に解除されるにはまだまだ時間がかかりそうです

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)