今年もハロウィーンの季節がやってきました。ハロウィーンといえばカボチャをくりぬいて作る「ジャック・オー・ランタン」を飾り、仮装をした子供たちが近所の家などを回ってお菓子をもらう「トリック・オア・トリート」が定番ですが、今年はコスチュームや飾り、カボチャやお菓子に至るまで深刻な物資不足がハロウィーンを直撃しています。

アメリカでは現在、全米の輸入物流のおよそ40%を占めるロサンゼルス(LA)沖のサンペドロ港と隣接するロングビーチ港の2つの巨大港で、新型コロナウイルスの影響などで長期間にわたって100隻近い船舶が荷役待ち状態となっていることから、物流が停滞する問題が深刻化しています。スーパーマーケットやペットストアなどでも一部商品が品薄になり、棚が空になるなど日常生活にも影響が出始めている中、これから年末にかけてハロウィーンのみならずクリスマス商戦をも直撃することが懸念されています。

ハロウィーンのグッズを扱う店では「近日入荷予定」と書かれた張り紙も
ハロウィーンのグッズを扱う店では「近日入荷予定」と書かれた張り紙も

昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの地域でハロウィーンの仮装パレードやイベントが中止やリモートになっていましたが、規制が緩和された今年は2年ぶりとなるトリック・オア・トリートを楽しみにしている子供たちも少なくありません。しかし、ハロウィーンのコスチュームや飾りなどを取り扱うチェーン店の多くで、中国などアジアから輸入している製品が貨物船からの荷下ろし待ちとなっているため、商品を入荷できずに品不足に陥っていることが伝えられています。また、この時期需要が急増するキャンディーやチョコレートなどのお菓子もコンテナ問題に加え、深刻なトラックドライバー不足から供給に遅れが出ていることも問題になっています。

ハロウィーングッズなどパーティーグッズ専門店の棚もこのように空が目だっています
ハロウィーングッズなどパーティーグッズ専門店の棚もこのように空が目だっています
トリック・オア・トリート向けのお菓子の棚も商品がほぼ売り切れ状態
トリック・オア・トリート向けのお菓子の棚も商品がほぼ売り切れ状態

報道によると、コロナ禍のリベンジ消費で今年はハロウィーン関連商品の売り上げが前年比20~25%増になっているところに供給問題が重なり、小売りサプライチェーンが大きな打撃を受けているといいます。また、カリフォルニア州では深刻な水不足の影響からハロウィーン用のカボチャの作付けを大幅に減らす農家が続出しており、カボチャの供給にも影響が出ています。品薄状態のため一部店舗では昨年の倍近い値段が付くなどカボチャの値段も高騰しており、今年はジャック・オー・ランタンを諦める家庭も出ているようです。

凝ったハロウィーンの飾りを施す家が目立つLA
凝ったハロウィーンの飾りを施す家が目立つLA

サプライチェーン問題は、小売り大手ウォルマートやターゲットなども直撃しており、今後はクリスマス向けの玩具やグッズ、衣料品などが不足することは避けられないと見られており、今からクリスマスの買い物を始めるよう呼びかけるメディアもあります。共和党支持者たちは、この現状を招いたバイデン政権を「バイデンの憂鬱なクリスマス」と呼び、クリスマスを台無しにするつもりかと批判キャンペーンを展開。映画化もされている人気児童向け絵本「HOW The GRINCH STOLE CHRISTMAS!(グリンチはどのようにしてクリスマスを盗んだのか!=邦題:いじわるグリンチのクリスマス)」をもじり、主人公のグリンチになったバイデン大統領と共に「クリスマスを盗んだのは誰か」と描かれたTシャツなども登場しています。

通販サイトではバイデン大統領がクリスマスを盗むと批判するTシャツも登場
通販サイトではバイデン大統領がクリスマスを盗むと批判するTシャツも登場

バイデン大統領はクリスマスを前に状況を改善するため、ロサンゼルス港を24時間体制で稼働することを発表しましたが、少なくとも今年のハロウィーンは多くの人にとって不満が募るものとなり、これから年末にかけて忍耐を強いられることになりそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)