4月29日からゴールデンウィークが始まり、最大10連休となる今年は、規制緩和もあってコロナ禍以来3年ぶりとなる海外旅行を楽しむ人も多いことでしょう。アメリカでは西海岸はハワイに次いで人気がある観光地だけに、ここロサンゼルス(LA)を訪れる人も多いと思います。久しぶりの海外、ましてやコロナ禍で価値観や様々なことが変化する中、コロナ禍前と比べて不自由や不安を感じることもあるかもしれません。LA在住者が感じるコロナ前と今の街の変化や、観光に際しての注意点などをまとめてみました。

コロナ前と変わらない人混みのサンタモニカはノーマスクの人がほとんど
コロナ前と変わらない人混みのサンタモニカはノーマスクの人がほとんど

まずは新型コロナウイルス関連についてです。LAでは規制の変更に伴い現在はバスや地下鉄、ウーバーを含む公共交通機関や空港、駅構内など一部の屋内施設ではマスク着用が義務化されています。それ以外の場所ではマスクなしで自由に行動することができるため、日本からの観光客もマスクを外して以前と同じように西海岸の快適な気候やカラッとした空気を楽しむことができると思います。ただ、コロナ感染者は微妙ながら増えているので帰国時の検査で陽性にならないためにも屋内でのマスク着用や密の回避など個々の判断で感染対策を継続することを推奨します。また、帰国時は出発前72時間以内の検査証明書の取得が必要となります。検査は日本式フォーマットへの記入も含めて200ドル程度の料金がかかります。心配な方はドラッグストア等で簡易検査キットを購入し、到着から数日後や検査を受ける前に使用すると安心です。検査キットは10ドルほどで購入できます。

お手頃ファストフードでもハンバーガーセットが1000円超えのLA
お手頃ファストフードでもハンバーガーセットが1000円超えのLA

そしてもう一つ大きく変わったことは、物価高です。インフレと急速な円安の影響で、外食や交通費などすべてが高く感じられると思います。例えばファストフード店で普通のハンバーガーとポテト、ドリンクセットが8ドル前後、1ドル130円で換算すると1000円を超えます。レストランで簡単なランチをすると税金にチップも必要となり、20ドル、2600円を超えることも珍しくありません。チップがいらないフードコートやフードトラックでも1食15ドルほど、高級ではなくてもある程度のレストランでお酒も楽しみながら夕食をするなら1人100ドル程度は見積もっておいたほうが無難です。ちなみに、チップはディナーなら飲食代の18~20%が最低相場となっています。

全米の中でもガソリン代が最も高い地域のLAでは1ガロン5ドル後半から高いところでは6ドルくらいします
全米の中でもガソリン代が最も高い地域のLAでは1ガロン5ドル後半から高いところでは6ドルくらいします

レンタカー代もコロナ禍以前より相当高くなっていますし、駐車料金も場所によっては数時間で数十ドルになります。ガソリン代もコロナ禍以前より1.5倍近く割高で、現在1ガロン(約3.78リットル)5ドル~6ドル超えの状態が続いているため、郊外や近隣の国立公園などへ遠出を予定している方は負担が大きく感じるかもしれません。また、ウーバーもガソリン代の高騰と人出不足などで料金が値上がっており、これまで十数ドルで行けていた距離でも倍以上かかることもあります。また、レストランや配車サービスでは人手不足も深刻で、以前と比べて何をするにも時間がかかることも頭の隅に置いておくと良いと思います。例えばレストランで空席があってもすぐに席につけなかったり、料理が出てくるまで時間がかかったりすることも多く、配車サービスも乗車するまで今までより待ち時間が長くなることを想定して余裕を持って行動すると安心です。

ハリウッドの中心部でも暗くなってからは人通りのない場所では注意が必要です
ハリウッドの中心部でも暗くなってからは人通りのない場所では注意が必要です

そして最後は、コロナ禍前に比べて治安が悪化しているということです。アジア系へ差別や偏見のみならず、今LAで問題になっているのは女性や観光客らの後をつけて一人になったところを狙うフォロー・ホーム強盗です。高級ブランド品を身に着けていたり、高級ブランド店の買い物袋を持っている人などは特に狙われやすいと言われており、日中でも被害が多発しています。駐車場や自宅などに戻る被害者の後をつけ、すきを見て襲うのが手口なので、なるべく一人にならない、人目のない場所は避ける、パッと見て高級品だと分かる貴金属やブランド品を身に着けてむやみに歩かないなど、最低限の注意が必要です。ビバリーヒルズのレストランの屋外席で食事中に銃で撃たれて高級腕時計が盗まれる被害や、ベニスビーチで観光客が狙われるなどのケースも起きており、観光地でも油断することなく周囲に気を配ることも重要です。高級腕時計を犯人に投げつけて助かった女性もいるので、もしもの時は抵抗しないことが自己防衛になります。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)