新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年3月以降、2年以上にわたってほぼ鎖国状態にあった日本も、ようやく海外からの観光客受け入れ再開に向けて入国に際する水際対策が大幅に緩和されました。

今月10日から外国人観光客の受け入れを再開させるに当たり、1万人に制限していた1日当たりの入国者数を2万人に倍増し、空港での検疫も簡素化されています。ようやく入国規制が緩和されたことで今年の夏は3年ぶりの海外旅行を計画中という方も多いと思いますが、日本入国の現状をレポートします。

新たな検疫措置では、世界の国・地域を感染状況に基づいて3つのグループに分けています。このうち、アメリカやイギリス、フランス、イタリアなど欧州各国、インドネシアやタイ、韓国など98の国と地域が最もリスクの低い「青」に分類されています。青の国からの入国者に対しては、空港で実施されていた新型コロナウイルス検査と自主隔離がワクチン接種の有無に関わらず免除され、到着後すぐ公共交通機関を利用することも可能となっています。

一方、「黄」に分類された国や地域からの入国者は、ワクチン3回接種を完了していれば入国時の検査と自主隔離は免除されますが、ワクチン接種を完了していない入国者は検査を受けた上で7日間の自主待機が求められます(入国後3日目以降に自主的に受けた検査結果が陰性なら自主隔離の解除が可能)。また、フィジー、パキスタンなど「赤」に分類される一部国・地域からの入国者は、ワクチン接種の有無に関わらず検疫所が確保する宿泊施設での3日間の待機が求められます。入国後3日目に同施設で受けた検査が陰性であれば、退所することができ、その後の隔離は必要ないとしています。

LAには無料のPCR検査場もありますが、日本行きに対応していないところが多いので有料の検査がおすすめ
LAには無料のPCR検査場もありますが、日本行きに対応していないところが多いので有料の検査がおすすめ

ただし、日本に入国する全ての人が、出国前72時間以内に受けた検査での陰性証明書の提示が求められます。任意の書式での提出もOKとされていますが、必要事項の記載漏れなどがあった場合は飛行機への搭乗を拒否されたり、入国を拒否される可能性もあるため、厚生労働省の所定フォーマットで発行してもらえる機関で検査を受けるのが無難とされています。

実際に記載漏れが原因で日本行きフライトへの搭乗を拒否された人がいたという話も聞きますので、英語に不安がある人は「日本入国対応」を謳う検査機関で検査を受けると安心です。ここロサンゼルス(LA)には日本語が通じる医療機関で検査が受けられるほか、空港内の検査場でも日本渡航に対応した証明書を発行してもらえます。値段は検査機関や結果が分かるまでの所要時間によって異なり、最短で1時間ほど、安めの検査機関では36時間以内といったところもあるので時間的余裕を持って早目に検査を受けると安心です。

検査機関によっては予約が不要のところもありますが、事前予約が必要なところあるので注意が必要です。日本式フォーマット対応で安いところだと120ドルほどで受けられ、検査結果は翌日以降にメールで受け取ることができます。提示を求められなかったという話も聞きますが、証明書はプリントアウトしたものを持参することが推奨されています。

今回の規制緩和の最大の特徴は、事前にスマホに入国者健康居所確認アプリ「MySOS」をインストールし、ファストトラックを利用することで検疫検査の時間が大幅に短縮されることです。これまでは検疫検査に7時間かかったといった体験談も聞いていましたし、筆者の友人も、夕方の成田到着から入国するまで6時間以上かかったと言っていましたが、現在はファストトラックを利用すると混雑状況にもよりますが、わずか10分ほどで検疫検査は終了するようです。

ファストトラックを利用するには、到着予定時刻の6時間前までにMySOSに陰性証明書の登録、誓約書と質問票の記入、そして任意ですがワクチン接種証明書の登録が必要となります。証明書はデータをアップロードするか、証明書を写メしてアップロードすることもでき、登録後に内容の確認がすむと画面の色が段階的に黄色や青に変化していきます。全ての登録が完了すると、あとは空港での搭乗手続き時にその画面を係員に提示し、入国後の検疫検査でも画面を見せるだけであっという間に手続きが完了して入国審査に進むことができます。

MySOSアプリの事前登録で入国がスムーズに
MySOSアプリの事前登録で入国がスムーズに
登録が終わると段階的に画面の色が変わります
登録が終わると段階的に画面の色が変わります

海外からの観光客の受け入れを再開させたものの、現時点では団体旅行客に限定しているため、現時点でアメリカから日本に観光旅行に出かける人は限定的です。6月下旬の日本行きフライトも、夏休みで日本に一時帰国する現地在住の日本人の姿はちらほらあるものの、外国人観光客の姿はほぼ皆無。一方で、経済活動を再開させた東南アジアに向かう人が殺到しており、日本行きのフライトの大半が東南アジアへの乗り継ぎ客で満席という現象も起きているようです。

東南アジア行きの旅行客で混雑するロサンゼルス空港の日本行きフライトのカウンター
東南アジア行きの旅行客で混雑するロサンゼルス空港の日本行きフライトのカウンター

アメリカへの入国は、今月12日から出発24時間前の陰性証明書の提示が不要となったことで、ワクチンを2回接種している人は検査も隔離もなく入国ができるようになりました。現時点では、18歳以上の外国人はワクチン2回接種を完了していることが入国条件となっているため、ワクチン接種証明書の提示は引き続き必要となるので注意が必要です。

※情報は6月25日時点のもので、渡航条件やルール、情報は時間と共に変更となり、更新されることもあるため、最新情報は厚生労働省の公式サイト等で確認して下さい。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)