映画の都ハリウッドの中心に位置する複合施設「ハリウッド&ハイランド」は、隣接するスターの手形や足形で有名なチャイニーズ劇場やアカデミー賞の授賞式会場として知られるドルビー劇場と共に、ハリウッド観光の拠点として親しまれてきました。ハリウッドを初めて訪れる人なら必ずと言ってよいほど足を運ぶ名所ですが、このほど1億ドルをかけた大規模改修工事を終えて「オベーション・ハリウッド」として新たに生まれ変わりました。

バビロンの門と像の柱の跡に誕生したアールデコ調のアーチ
バビロンの門と像の柱の跡に誕生したアールデコ調のアーチ

初めてハリウッドを訪れた90年代は、チャイニーズ劇場の周辺には青空駐車場や「Hollywood」の文字が描かれたおみやげの定番Tシャツなどが積み上げられた小さな路面店が並んでいるだけで、「これがハリウッド?」と想像した煌びやかな雰囲気とは程遠い街並みに驚いたことを今も鮮明に覚えていますが、それからほどなくして2001年に「ハリウッド&ハイランド」が誕生したことで街並みが一変しました。ドルビー劇場(当時はコダック劇場)と共にショップやレストラン、ホテルが集まる複合施設ができたことで、一気に街が華やぎ、それから毎年アカデミー賞の授賞式が行われるなど、映画の街ハリウッドにふさわしい場所として現在まで観光客にも親しまれてきました。

コービー・ブライアントさんがオスカー像を手にする壁画も
コービー・ブライアントさんがオスカー像を手にする壁画も

今回の改修工事は、2019年にガウ・キャピタルUSAとDJMがハリウッド&ハイランドを買収したことに伴うものですが、老朽化しやや時代遅れな感じもあったデザインは近代的なランドスケープとして生まれ変わり、洗練されたハリウッドらしい新たな名所の誕生となりました。一番大きな変化は、ハリウッド&ハイランドの特徴の一つだった1916年に公開されたサイレント映画「イントレランス」に登場する古代都市バビロンのセットをモチーフにしたハリウッドサインが展望できるバビロンの門と像の柱が姿を消したこと。代わりにアールデコ調デザインを取り入れたより洗練されたアーチとなり、その内側に描かれた壁画は世界的に有名な地元のアーティスト、ジェフ・マクフェトリッジ氏によるスタンディングオベーションを受ける人々になっていて、「ハリウッドドリーム」が表現されています。また、セントラルコートもアーチを見上げる都会のオアシスのような雰囲気に変わり、人工芝にベンチや椅子、パラソルなども設置され、憩いの場となっています。

アーチからはハリウッドサインが正面に見渡せる設計になっています
アーチからはハリウッドサインが正面に見渡せる設計になっています

もちろんチャイニーズ劇場とドルビー劇場は健在で、来年以降もアカデミー賞の授賞式がここで行われることになっています。また、ハリウッド通りを見下ろすことができる4階テラスには、2020年にヘリコプターの墜落事故で亡くなったNBAロサンゼルス・レイカーズの元スター選手コービー・ブライアントさんの功績を称え、オスカー像を手にする巨大な壁画も登場。ショップやレストランの一部も入れ替わり、ハリウッド観光の中心にふさわしい施設へと変貌を遂げています。

写真撮影スポットもあちらこちらにあるオベーション・ハリウッド
写真撮影スポットもあちらこちらにあるオベーション・ハリウッド

オベーション・ハリウッドの地下にはメトロの駅があり、ダウンタウンやユニバーサル・スタジオ・ハリウッドへのアクセスも便利で、ここを起点にハリウッド通り沿いにあるユニークな博物館や蝋人形館などを訪れたり、スターの名前が刻まれた星形プレートを見ながらおみやげ物店を巡るのもハリウッド観光の醍醐味。近くにはかつてチャーリー・チャップリンも訪れた1919年創業のハリウッド最古のレストラン「ムッソー&フランク・グリル」や映画のポスターや脚本などお宝探しが楽しいハリウッドならではのショップもあるので、次回ハリウッド観光の際は新しくなったオベーション・ハリウッドを訪れてみてはどうでしょう。(ロゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)

アーチから見下ろすセンターコート
アーチから見下ろすセンターコート