アメリカでは24日、新型コロナウイルスの感染拡大による規制が撤廃されて初めてとなる感謝祭を迎えました。2019年以来3年ぶりに、マスク着用も人数制限やソーシャルディスタンスもない感謝祭となり、木曜日から日曜日までの4連休で見込まれる旅行者数はパンデミック前の水準にほぼ戻ったと伝えられています。

米自動車協会AAA(トリプルA)によると、今年の感謝祭は約5400万人が50マイル(約80.46キロ)以上の移動をすることが見込まれており、うち4900万人以上が車での移動だといいます。車を利用する旅行者数はパンデミック前の98%まで回復しているといい、感謝祭前日の23日には全米各地で高速道路が大渋滞する風物詩も見られました。過去最高値を記録したガソリン価格が落ち着いていることもあり、昨年に比べて車で移動する人が多かったようです。

観光客との記念撮影をするショーガールの恰好をした女性たちも大忙し
観光客との記念撮影をするショーガールの恰好をした女性たちも大忙し

インフレの影響で航空券の価格は昨年と比較して平均40%アップになっているものの、コロナ禍前の99%となる450万人が飛行機を利用してこの週末に移動すると伝えられており、ここでもコロナ禍からの反動が顕著になっています。

感謝祭は、遠方で暮らす家族が一堂に会して食卓を囲む日として知られており、今年もおよそ7割が家族の元を訪れることが旅行の目的だと言われています。家族が集まって祝う感謝祭当日は、娯楽施設やショッピングモール、多くの飲食店が休業するため、実はここロサンゼルス(LA)など大都市でもほとんど観光らしい観光ができないばかりか、開いている飲食店を探すのも苦労するほど街は閑散としています。

筆者が学生時代だった90年代はスーパーマーケットやファストフード店もほぼすべて休業していたため、さみしい思いをしたものですが、当時に比べて今は時短営業する店もあるので食べるのに困るということはありませんが、街中から人が消え、ゴーストタウンのような雰囲気になります。

アーケードで行われる無料のショーにも大勢の人が
アーケードで行われる無料のショーにも大勢の人が

しかし、不夜城として知られるラスベガスだけは別格で、全米から感謝祭を過ごす人たちが訪れ、賑わうことで知られています。ホテルのカジノはもちろん、ショッピングモールから各種アトラクション、飲食店までほぼ休業せずオープンしているため、観光客にとってはパラダイスのような場所です。筆者は今年の感謝祭を20数年ぶりにラスベガスで過ごしましたが、大型カジノホテルが立ち並ぶメイン通りのストリップは歩くのも大変なほどの賑わいで、インフレなんてどこ吹く風という雰囲気に驚かされました。

人で埋め尽くされたストリップ。観光客も完全に戻ってきてようです
人で埋め尽くされたストリップ。観光客も完全に戻ってきてようです

平日のオフシーズンということもあり、感謝祭の前日朝までは閑散とまではいかないものの「人が少ない」印象でしたが、夕方になるとストリップは大渋滞となり、気がつくと歩道を歩くのもやっというくらいの人で埋め尽くされていました。感謝祭当日は特別メニューを用意するレストランも多く、翌日のブラックフライデーのセールを前倒しで行う店もあるため、普段とは違う感謝祭を楽しむことができて最高です。

セキュリティーや警察官があちらこちらで警備に当たっています
セキュリティーや警察官があちらこちらで警備に当たっています

ストリップを歩いていると、このところ各地で多発する銃乱射事件の影響なのか、いたるところに警察官が立っており、パトロールする警官やセキュリティーの数がとにかく多い印象を受けました。数年前に野外コンサート会場で銃乱射事件が起きていることもあり、これだけ人が集まっている場所で銃撃が起きたら思うと、さすがに怖くなってきました。ラスベガスは全米の中でも珍しく、公共の場での飲酒が合法なこともあり、アルコール片手に街を歩く人も多いことから銃撃以外にも酔っ払いによるトラブルなども発生しやすく、夜通しパトロールする警察官の存在は心強いと改めて感じた感謝祭でもありました。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)