大麻からとれる成分が入ったCBD(カンナビジオール)グミをクルーズ船に持ち込もうとした女性客が乗船を拒否され、生涯に渡って出禁になったことが話題になっています。ピープル誌などによると、テキサス州在住の女性が家族と共にフロリダ州マイアミ発のクルーズ船「カーニバル・ホライズン・シップ」に乗船する際に、X線による荷物検査で金属製の爪切りが反応したことで係員による荷物検査を受けたところ、未開封のグミが見つかり、乗船を拒否されたといいます。

クルーズ船にCBDグミを持ち込もうとした女性客が生涯出禁となったことを報じるピープル誌の記事
クルーズ船にCBDグミを持ち込もうとした女性客が生涯出禁となったことを報じるピープル誌の記事

報道によると、医療目的で使用されるCBD製品が例え米国内で合法であっても、クルーズ船への持ち込みは禁止されていることが理由だとされています。女性はこれを知らずに米国内で合法的に購入したグミを持ち込もうとしたようですが、寄港地によって法律が異なるクルーズ船ではCBD製品の持ち込みを禁じている会社が多く、同クルーズのホームページでも「私たちが訪問するすべての港で合法ではないため、禁止品目にあたる」と説明しています。そのため家族は乗船を許可されたものの女性は乗船できず、結果的に一家は旅行を取りやめることになったといい、後に「規則違反」などを理由に今後の乗船も拒否する旨が通告されたと伝えられています。

オンラインでも販売されているCBDグミは、カラフルな色で種類もいろいろあります
オンラインでも販売されているCBDグミは、カラフルな色で種類もいろいろあります

日本では大麻由来成分に似せた合成化合物「HHCH」の成分を含むと見られる「大麻グミ」を食べて体調不良を訴える事例が相次いだことがニュースになっていますが、CBDグミとはまったく別物です。では、CBDとはどのようなものなのでしょう。カンナビジオールの略であるCBDは、大麻草に含まれる天然由来の成分カンナビノイドの一種で、鎮静効果があるとされています。いわゆるハイ状態を引き起すなどの精神作用がなく、一般的に中毒性もないことからアメリカでは医療目的だけでなく、健康や美容目的でも広く流通しており、グミを含む様々な製品が製造・販売されています。人間用だけでなく、犬用CBD製品などもあります。

トランプ前大統領が2018年に農業政策を定めた農業法案で、THC(テトラヒドロカンナビノール=大麻の一種で一般的にハイになり、依存性があるとされる成分)の含有量0.3%未満のヘンプ由来のCBDを事実上合法化しています。しかし、州法でCBDを含む大麻の使用を認めていない州もあり、合法化されていない州に合法州から持ち込めば違法となるなど複雑で、今回のクルーズ船への持ち込みのようにトラブルに発展することもあります。

また、連邦法で合法化されたものの基準はあいまいで、米食品医薬品局(FDA)はCBDを含む大麻由来の食品の販売を認めておらず、CBDグミも法律上では違法ということになっています。

LAではグミ以外にも様々なCBD製品が販売されており、ドリンクなども
LAではグミ以外にも様々なCBD製品が販売されており、ドリンクなども

ちなみに、ここカリフォルニア州では、医療用のみならず娯楽目的での大麻の使用も認められています。街中を歩けば、「CANNABIS(カンナビス=英語で大麻の意味)」と書かれた看板やショップを見かけますが、21歳以上であればアルコールと同様の扱いで身分証明書を提示して購入することができます。28.5グラム(濃縮物は8グラム)まで合法的に所持でき、自宅や認められた場所(車内や公共の場での使用は不可)で使用することができます。

2019年にLAにオープンした全米初の大麻カフェはコロナ禍を経て3年ぶりに再オープン
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こうしたショップでは、リラックス効果などをうたったCBD入りグミやキャンディなども販売されていて合法的に購入できますが、日本では違法のTHC成分が混入しているものは日本には持ち込めませんので注意が必要です。CBDは日本では大麻に該当しませんが、日本とアメリカでは合法とされる基準が異なるため、アメリカでCBD製品を購入される方は注意が必要です。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)