特急「あずさ」で、長野県の茅野(ちの)へ向かう。午前11時11分、茅野駅着。ホームに降り立てば、もう高原の夏だ。水色が鮮やかに濃く、その中に綿菓子のような白い雲がムクムクと浮かんで見えた。

ここから白樺湖へ。湖畔の「池の平ホテル」のバスに乗り『白樺湖1泊2日の旅』が始まった。

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◆ゆったりと癒しの時間を満喫

出発前に、周囲の友人に白樺湖へ行くと言うと、「そこで、何をするの?」と聞き返してくる。「まぁ避暑かな」。「避暑って 何するの?」。だから「レイクリゾートだよ!」

そう、この「レイクリゾート」が今回の旅の狙いである。

海でもなければ、山とも違う。

「湖畔には、時の流れをゆっくりと包み込んでくれるような、独特のやさしさがありませんか?」

ホテルの社長・矢島義拡氏が説明してくれた。そう、都会の喧騒を離れ、心地良い湖畔の空気と風を存分に味わうのが「レイクリゾート」。

湖面の向こうには車山高原が広がり、白樺の遊歩道には犬を連れた地元の人たちが、のんびりと散策を楽しんでいた。

◆牧場で乗馬も体験できる

「これから、どうするんですか?」

まだ、昼過ぎである。広報の女性に尋ねた。

「乗馬体験を楽しんでもらいます」

向かったのは「ホープロッヂ乗馬牧場」。

オーナー手作りのログハウス。そして、馬が十数頭もいる。

こちらも初めての体験。最初はスタッフが手綱を持って連れ歩いてくれるのかと思ったら、自分で手綱をさばく。緊張とワクワクの1時間。お馬さんには迷惑だったかもしれないが、正直、楽しい初乗りであった。

「もう少し上手になると、牧場内だけでなく、湖周へ出られるようなコースもありますよ」

◆たき火は旅人を詩人に

さて、この後は?

「さらにゆったりしてもらいましょうか…」。

「池の平ホテル」のレイクサイドプラザの敷地内でのたき火体験。

2500円でまきを買い、湖畔で燃やしてたく。それだけのことだが、大変な人気だ。

「ただ、炎を見ているだけで、なぜか落ち着くんですよね」「まきをくべながら時間も燃やしている。その無為が好き」と参加者。

無為自然の境地。

湖畔は客を詩人にしていく。

さらに湖の向こうに日が沈む時がくると、「この時を『マジックアワー』と呼びます」と広報氏。すべてが静寂の中にとどまって、沈む夕日だけがキラキラ輝く。こんな瞬間を楽しむのも「レイクリゾート」のひとつかもしれない。

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さて、次の日は「SANU」の見学である。

「SANU」とは、別荘よりも気軽に、ホテルより何度も通える「セカンドホーム」のサブスクリプションサービス。

ユーザーは、月額5万5000円で、キャビンを利用できる。全国に現在7拠点50棟ある。「自然の中にあるもうひとつの家」。

窓をあければ、もう、白樺林。室内には、真っ白なベッド、もちろん台所やデスクスペースも。

会員になるには、現在、人気で予約待ちの状態。コンセプトが今の時代にはまったようだ。

◆Eバイクで車山の風になる!ニッコウキスゲが鮮やかな斜面

さて、この日のアクティビティも盛りだくさん。

「アウトドアショップHygge」に集合してEバイクに乗車。爽快に湖畔へ疾走である!

車山へ一気に上って降りてくる。気が付くと30キロは楽々超えるスピード。斜面にはニッコウキスゲが一面に咲き乱れて美しい。

その後は白樺湖にカヌーを浮かべてのんびり。

日常から少しだけ離れ、湖と戯れるように過ごした湖畔の2日間。こんなレイクリゾートを、これからのライフスタイルの中に組み込むことができたら・・・。 湖畔の風に手を振って、帰路についたのだった。