津軽半島最北端・竜飛崎は山の上。強い風が吹き荒れる。そんな「風の岬」から国道339号線を走り、さらに標高を上げていく。津軽半島は山深い半島だ。標高約500メートルの眺瞰台を境に、竜泊(たつどまり)ラインと呼ばれる339号線は一気にうねり出す。曲がる、上る、下る。自転車日本一周の旅人に畏怖される絶景道だ。山を下りきると、美しさと荒々しさが同居する海岸に出る。北海道の余韻を感じる道路だ。


眺瞰台から見下ろす竜泊ライン
眺瞰台から見下ろす竜泊ライン

 しじみの名産地で知られる十三湖を過ぎ、さらに南へ。つがる市の車力地区は時折スイカ畑もあるなど牧歌的だ。海岸沿いに広がる保安林のど真ん中に、高山稲荷神社が鎮座する。外国人観光客から圧倒的人気の京都・伏見稲荷大社と同じように、200本以上の鳥居が連なる。寺社仏閣の多い京都ならしっくりくるが、津軽半島の海沿いに連続鳥居があるのは、どこか異世界の感。それだけに記憶にしっかり焼きつく。


高山稲荷神社の連続鳥居
高山稲荷神社の連続鳥居

 さらに南へ、内陸へ。鶴田町の「鶴の舞橋」は吉永小百合さん出演のテレビCMで一躍話題になった。津軽富士見湖に架けられた約300メートルの橋は、三連太鼓橋としては日本最長だそう。岩木山をバックにした姿がまるで鶴のよう、といわれている。私は、横から眺めた姿に見とれた。朝日に照らされた三連太鼓橋のシルエットは格別だ。


朝日に照らされる鶴の舞橋
朝日に照らされる鶴の舞橋

 4月下旬から5月上旬に津軽を訪れるなら、弘前公園のサクラは外せない。日本列島を北上してきたサクラ前線もラストスパート!というわけではないが、園内約2600本のサクラは見事の一言。「弘前のサクラが日本一」という声は青森でよく聞くが、あながち間違っていないと思う。多種多様の露店が彩りを添え、ここでの花見は本当に楽しそうだ。落ちた花びらがお堀をピンクに染める花筏(はないかだ)も実に美しい。


弘前城のお堀をピンクに染める花筏
弘前城のお堀をピンクに染める花筏

 夏は五所川原の立佞武多(たちねぷた)も見逃せないが、田舎館村の田んぼアートにも立ち寄りたい。イネの品種の違いを利用した田んぼアートは全国各地に広まってきているが、田舎館はやはりレベルが違う。2015年に訪れた時は、青森の新ブランド米「青天の霹靂」のPRアートだった。霹靂なんていう難しい漢字まで再現していて、度肝を抜かれた。今年はどんなアートなのだろう。田植えは6月に行われる。


2015年の田んぼアート「青天の霹靂」
2015年の田んぼアート「青天の霹靂」

 旅行へ行こう。どこへ行こうか。他の観光地と比較すると、青森県は地理的に選ばれづらいし、新幹線の通らない津軽地方はなおさらだ。他都道府県に全くひけをとらない観光素材がそろっているだけに、あぁ惜しい。1カ所にゆっくり滞在して、というよりスタンプラリーのように次々と巡る旅行スタイルが、この土地には合っているかもしれない。リンゴだけにとどまらない魅力が津軽にはある。【金子B】


「高山稲荷神社」へ行くには?

 JR五所川原駅から弘南バス小泊線に乗車。40分ほどで最寄りバス停に着くそうです。車では東北道・浪岡ICから「浪岡五所川原道路」へ入り、五所川原北ICから一般道へ。そこから20キロほどかかります。住所はつがる市牛潟町鷲野沢147-1。


「鶴の舞橋」へ行くには?

 JR陸奥鶴田駅からタクシーで10分ほど。車では東北道・大鰐弘前ICから小一時間かかります。住所は鶴田町廻堰大沢。