沿道のススキを揺らしながら、JR五能線がまっすぐな線路を走ってきた。クリーム色の車体はだいぶ錆びている。年季のせいか、日本海の潮風のせいか、両方か。


驫木駅のホームに入ってくるJR五能線
驫木駅のホームに入ってくるJR五能線

 荒れる日本海を背にした小さな木造駅舎は、趣に満ちている。驫木駅はJR「青春18きっぷ」のポスターに起用され、話題になった。「驫木」と書いて「とどろき」と読む。この駅に電車が停まるのは、1日10回。あせたクリーム色の車両を撮りたければ、数時間単位で待たなければいけなくなることも。でも、この周辺はどこも景色が良い。時間は案外、あっという間に過ぎていく。


国内屈指の絶景駅とされる驫木駅
国内屈指の絶景駅とされる驫木駅

 小さな駅舎には、思い出ノートが置いてある。絶景駅の必需品だ。全国各地から訪れた鉄道ファン、観光客が足跡を書き残している。大きな音を立てることもなく、スーッと走ってきて、ピタッと停まった五能線。乗降客はいなかった。運転手しかいないワンマン運転の2両編成。南へ向け、再びスーッと走り始める。


驫木駅から出発していった五能線
驫木駅から出発していった五能線

 さてここから、である。五能線は全国の鉄道ファンが憧れる絶景路線だ。驫木駅をはじめ、沿線の中間部を占める青森・深浦町には無数の撮影スポットがある。五能線はそこまでスピードが速くない。一方、線路に沿う国道は信号が少なく、快適にドライブできる。途中駅の停車時間を踏まえれば、そのうち車で抜かせるのだ。同じ電車を、違う場所でまた撮れる。


 時刻表と地図から通過時刻を想定し、制限速度内の運転で行ける次の撮影ポイントを設定し、無事にミッションを遂げ、また次へ―。この作業は、かなり楽しい。仕事みたいだけれど、かなり楽しい。五能線沿線は、どこでカメラを構えても絵になる。ここで待とうかな、いや、もっといいところを探そう。自問自答しながらのドライブが楽しい。深浦町の中心部手前で、いつの間にか抜かしていた電車に再び巡り合った。


深浦町内を走る五能線(写真は加工有)
深浦町内を走る五能線(写真は加工有)

 臨時快速列車「リゾートしらかみ」も観光列車として名高いが、五能線の風景にはやはり普通列車が似合う。深浦駅を過ぎ、さらに南下しても、風光明媚な日本海の景観は続く。

 終着駅の能代まで追いかけてもいいが、区切りをつけるなら、秋田県八峰町の第二小入川橋梁がおすすめだ。ここでローカル線を見送り、深浦に戻る。深浦町は、ただ通過するだけでは、実にもったいない街なのだ。【金子B】


第二小入川橋梁を渡る五能線(写真は加工有)
第二小入川橋梁を渡る五能線(写真は加工有)

「驫木駅」へ行くには?

 青森市街地から車で海沿いを北西へ進み、1時間半ほどで着きます。北海道新幹線・奥津軽いまべつ駅周辺からは車で30分ほど。駐車場は広めです。高野崎から津軽半島・最北端の竜飛崎へは車で40分ほどかかります。


Wonderful View No.53 "JR Gono line and Todoroki station"

JR Gono line runs in the western part of Tohoku district. The railroad view is wonderful and many train enthusiasts visit there, though the cars are rusted by salty breeze from Japan sea. Particularly, Todoroki Station is known as superb view Station that has the ocean in front.

[DATA]

Address: 18, Ohgita, Todoroki, Fukaura-machi, Aomori-ken

Access: About two hours drive from central Hirosaki, Aomori-ken

Parking: For a few cars