地図を眺めているだけでは分からない。北陸・能登半島は平たい半島だとばかり思っていたのに、実際に足を運ぶと、海沿いであってもなかなかにアップダウンが続く。だからこそ生まれた絶景もある。輪島市の北部、海に面した丘陵地の合間に白米千枚田(しろよねせんまいだ)はあった。


 丘の上から海岸近くまで、棚田が形成されている。写真では伝わりづらいが、かなり広い。思わず「おおっー!」と声が出てしまうスケールだ。ローマ帝国のコロッセウムって、こんな感じの広がりではなかっただろうかと、世界史の教科書を思い起こす。現代日本でいえば、野外音楽堂のようなイメージか。


写真では伝えきれないほど白米千枚田は広い
写真では伝えきれないほど白米千枚田は広い

 18時も過ぎ、間もなく日没。偶然この時間帯に着いたが、国道249号の歩道にはカメラを持った人々がすき間なく並び、夕暮れを待っている。路上駐車対策か警備か、国道にはパトカーも待機。絶景撮影地にパトカーが待機しているのは、後にも先にも、ここ白米千枚田でしか見たことがない。


多くのカメラマンが早くから待機
多くのカメラマンが早くから待機

 今から夕焼け撮影隊に入っても、1列目に並ぶのは無理だろう。それならば歩いたほうが楽しい。棚田内を散策することにした。棚田は地形に合わせて作られているので、田んぼ1つ1つの大きさや形が違うのが面白い。正方形や長方形の田んぼなど、まず見当たらない。数が多いから千枚田。「(1つ1つが)狭い田」から転じた、という説もあるようだ。


日本海の夕日と白米千枚田
日本海の夕日と白米千枚田

 急勾配だから油断はできないのだが、海に向かって滑り込んでいく広い棚田を歩くのは、実にわくわくする。2006年には当時の小泉純一郎首相がここを訪れ「絶景だよ、絶景」と興奮したという場所でもある。その元首相の名は、今もこの棚田に残っていた。千枚田の中には「オーナー制度」の田んぼもあり、著名人の立て札もいくつか立てられている。田植えや稲刈りをボランティアで体験することもできるようだ。


日本海へ溶け込んでいくような棚田
日本海へ溶け込んでいくような棚田

1つ1つ違った形をする千枚田
1つ1つ違った形をする千枚田

 しばらく歩いていたら、夕日が水平線に近づいてきていた。これ以上歩いていたら、撮影の邪魔になる。場所取りを頑張るカメラマンさんたちに悪いので、そそくさと高台へと戻る。日本海へ沈む夕日はどこも光量が強く、美しい。そのまばゆさが投影された千枚田を撮るのは、またいつかの機会にしよう。【金子真仁】


高い場所から撮影。棚田に夕日が投影される
高い場所から撮影。棚田に夕日が投影される


「白米千枚田」へ行くには?

 能登半島は高速道も1車線のため、目的地までの所要時間は想像以上にかかります。東京方面からも大阪方面からも、まず目指すのは北陸道・金沢森本IC。そこから「のと里山海道」で、のと里山空港ICへ。輪島市内を抜け、半島北部へ向かう途中にあります。金沢市から2時間10分が目安とされています。千枚田と隣の道の駅「千枚田ポケットパーク」に駐車場があります。住所は石川県輪島市白米町ハ部99-5。


Wonderful View No.77 “The Shiroone Senmaida”

Wajima Peninsula of Ishikawa is hilly areas with much ups and downs. There are many Tanada (terraced paddy field) by using the topography. The Shiroyone Senmaida is maximum in that. Rice fields nearly 1000 form a line on the slope at the very limit of the shore.


[DATA]

Address: Shiroyone-machi, Wajima-shi, Ishikawa-ken

Access: About 130minutes by car from JR Kanazawa station

Parking: For about 50 cars