青い渚を走る。北、中央、南と3つの気高い日本アルプスの向こうにある湘南海岸にいる気分で、鼻歌はずっと桑田佳祐「波乗りジョニー」だ。ここは石川・能登半島の西付け根、千里浜(ちりはま)。車は停めない。ハンドルと操り、アクセルを踏んだまま、日本海に面したビーチに走り込む。


千里浜なぎさドライブウェイ(今回の写真は全て一部加工)
千里浜なぎさドライブウェイ(今回の写真は全て一部加工)

 石川県=金沢兼六園という観光概念を打ち破る存在になりつつある。千里浜なぎさドライブウェイはドライバーたちにとって「いつか愛車を走らせてみたい」という憧れの道だ。道であり、道でない。ここは砂浜。日本で唯一、世界でも数少ないという、車やバイクで走り抜けられるビーチだ。石川県羽咋(はくい)市から宝達志水(ほうだつしみず)町にかけての約8キロ、気分爽快の砂浜が続く。


もっと波打ち際を走ることができる
もっと波打ち際を走ることができる

 四駆車でもないのにタイヤは沈まない。空転さえしない。ポイントは千里浜特有の砂粒と角ばり具合ときめ細かさにあるという。これらが海水でさらに引き締まり、砂なのに強力な地盤となる。おそるおそる千里浜海岸に出てみたが、砂の上を走り始めてもほとんど違和感はない。もちろんアスファルト道のような頑丈さは感じないけれど、スリップしそうな感触はまるでない。


日本ではないような壮大な空間を走れる
日本ではないような壮大な空間を走れる

 「ない」はまだ続く。センターラインがない。方向規制もない。対向車は来たら譲り合い。どちらが海側を走るかは、その時次第だ。道路交通法の適用も基本的にはない。でも無法地帯にはなっていない。むしろ皆、安全運転で極めてマナー良く走っている。砂浜を運転するのは危険、という本能が知らずと運転を慎重にさせているのだろうか。広くて安全。運転初心者の練習の場にうってつけのように思う。


引き締まった砂なのでタイヤ痕もくっきり
引き締まった砂なのでタイヤ痕もくっきり

 高波の時は進入できないけれど、こんなぜいたくな道が無料なのだから素晴らしい。北側の羽咋市か、南側の宝達志水町か、どちらからでも千里浜には入れる。私は羽咋市からの南下ルートをおすすめしたい。千里浜の南側の方が海岸線が広いし、何より夕方には真っ赤な夕日を横目にしながら、砂浜をサンセットドライブすることができる。日常では絶対に味わえない、貴重な時間になること間違いなしだ。


運転席から眺める千里浜の夕日
運転席から眺める千里浜の夕日

 波打ち際に砂上駐車(?)し、夕日を全身に浴びる。物思いにふける。こんな絶景だし、きっといくつもの人生ドラマがここで生まれてきたのだろう。いいなぁ、北陸。さて、心だけでなく腹も満たしたいので、そろそろ金沢へ向かうとする。と、その前に行かねばならぬ場所があった。そう、ガソリンスタンド。砂上を走り、海水が吹きつけられた愛車を念入りに洗車するのが、千里浜ドライブの総仕上げだ。【金子真仁】


「千里浜なぎさドライブウェイ」へ行くには?

 運転免許をお持ちの方は、ぜひ千里浜へは車で! 金沢市街地から高速道に乗り、北東へ車で1時間ほどです。金沢から向かって手前の今浜ICで下りて北上するか、奥の千里浜ICで下りて南下するか。おすすめは南下ルートです。想像以上に安全な砂浜道路ではありますが、それでもやはり運転には十分気をつけましょう。


Wonderful View No.78 “The Chirihama driving beach”

There is only the sandy beach in the world that we can drive a car. There is one

of those in Ishikawa, Japan. It is called“The Chirihama Nagisa driveway”. We can drive in the sandy beach of the shoreline for 8km. Because a grain of sand is smooth, there is nothing that a tire skids by driving.


[DATA]

Address: Chirihama-machi, Hakui-shi, Ishikawa-ken

Access: About an hour by drive from Kanazawa city area

Parking: Nothing