2014年夏。私が石垣島へ行きたいと思った最大の理由は「聖地巡礼」だった。安室奈美恵さんのシングル「Get Myself Back」のプロモーションビデオ(PV)が撮影された場所が石垣島だと知ったからだ。沖縄の大自然の中、安室さんの笑顔の魅力が最大限に引き出されたPVだったと思う。あの場所に行ってみたかった。


幸運にも楽天は晴れていた。サトウキビなのだろうか、空港周辺には畑が広大に広がる。やがて現れる町並みは、沖縄本島と同様に赤瓦の屋根である。守り神シーサーが乗っているのもお約束。沖縄に来たんだという高揚感が増す、安定の景観だ。


赤瓦の屋根に乗る守り神シーサー
赤瓦の屋根に乗る守り神シーサー

PVのロケ地は、ネットサーフィンしていたらそれらしい場所が判明した。公開はしていないはずだし、ファンが足で探したのだろう。人気ドラマのロケ地もよく聖地巡礼の対象になるが、よく見つけられるなとつくづく思う。情報を元に、PVに登場したガジュマルの木(通称「安室ちゃんのガジュマル」)を発見することができた。太くたくましい木に、純白のウェディングドレスをまとまった安室さんがもたれかかっている姿は、本当に美しかった。私も数年ぶりに自分の写真撮影を求めた。


「安室ちゃんのガジュマル」にて珍しく自分の記念写真
「安室ちゃんのガジュマル」にて珍しく自分の記念写真

ちゃんと観光もしながら、PVロケ地も探す。石垣港から時計回りに島を回る。「船が浮いて見える」と有名な川平湾(かびらわん)は、にわか雨の直後だったせいか、噂ほどの絶景にはなっておらず残念。川平からさらに北上を続けていくと、広い草原があるという。安室さんがPVでピンクのワンピースを着て歌っていた場所。黄緑の草原をバックに、弾ける笑顔が最高で、PVのハイライトだった。


船が浮いて見える…までには至らなかった川平湾
船が浮いて見える…までには至らなかった川平湾

もう1つのPV撮影地とされる、ある海岸に着いた。ちょっとした森をくぐり抜けると、広い砂浜が待っている。沖縄でよく見る景色だ。石垣島は当然ながら夕日が美しい。島の北側はフェリーの航行も皆無だから、波も立っていない。空気も澄み、視界を阻害するものは何もない。与那国島や西表島があるから「日本で一番遅い夕日」にはならないけれど、自分でそう思いこめるだけのサンセット風景が石垣にはある。「目の前に広がる青い海へ 丸い太陽が帰っていく」。


声が出ないほどに美しい石垣島の夕日
声が出ないほどに美しい石垣島の夕日

「目を閉じたままじゃ分からない こんなにも世界はきれいなのに」。波打ち際を歩きながら安室さんが歌ったビーチで、しばし感慨にふける。何て美しい夕日なのだろう。青とオレンジ、混ざりづらい2つの色が、この上なく一体感ある南国のサンセットタイムを彩る。心を未来に向かせてくれる景色だ。「もう大丈夫 きっと全てはうまくいく」。


目の前に広がる青い海へ丸い太陽が帰っていく
目の前に広がる青い海へ丸い太陽が帰っていく

彼女のバラードは本当に美しい作品ばかり。情景が目に浮かび、その声に魂が揺さぶられる作品ばかりだ。9月16日、間もなく引退。ありがとうございました。稀代の歌姫を生んだ沖縄に、また近々行きたくなった。【金子真仁】


夕日が沈み、やがてマジックアワーが始まる
夕日が沈み、やがてマジックアワーが始まる