「江戸時代の浮世絵、東海道五十三次の作者は誰?」。それは安藤広重であると義務教育でそう習ったはずなのに、今後は解答欄に「安藤広重」と書くと、マルがつかないそうだ。正解は「歌川広重」…って、それ誰? どうやら、同一人物。雅号である歌川広重の名に統一するそうだ。次期学習指導要領改訂でそうなるらしい。今回は安藤、ならぬ歌川広重が表現した絶景にお目にかかる。


絶景への入口、清水・興津地区
絶景への入口、清水・興津地区

かつては「清水市」と呼ばれていた港町・静岡市清水区の東側にある興津地区が、絶景の入口だ。海から離れるにつれミカン畑が増え、鼻を近づけなくても芳香が届く。なかなかの急勾配を歩き、海抜90メートルレベルまで上がっていく。薩埵峠(さったとうげ)と呼ばれている。


急勾配を歩き薩埵峠を越える
急勾配を歩き薩埵峠を越える

道路の最高点に展望台がある。ここが浮世絵に描かれた場所。駿河湾に山が迫り、道路が走り、何よりも前方の富士山が美しい。標高3776メートルの富士山頂まで、ここから直線で約37キロ。近すぎず、遠すぎず、いい塩梅の最高峰を眺められる。雲1つなく晴れていて、少しだけ雪をかぶっている。「ザ・富士山」をパーフェクトに拝めるのは幸せだ。


薩埵峠の展望台から眺める景色
薩埵峠の展望台から眺める景色

展望台から少し海側に山を歩くと、なお美しい景観に出会える。富士山に見守られながら、海と山が出会う狭い土地を駆け抜けるものが3つ。山側から東海道本線、国道1号(東海道)、シーサイドが東名高速道路。薩埵峠のふもとで、この3つが芸術的に交錯する。東海道新幹線はもう少し内陸のトンネルを走っている。


薩埵峠のふもとで交じり合う交通網
薩埵峠のふもとで交じり合う交通網

この景観で一目瞭然ではある。ここはかつて、東海道三大難所の1つとされていた。峠が海に突き出す地形のため、旅人は高波にさらわれぬよう、海岸線を必死に駆け抜ける必要があった。その迂回コースとして、薩埵峠が重宝されたのだという。何百年と時が流れても、地形はそう簡単には変わらない。ふもとを見下ろせば、海岸線は今でも狭いまま。


薩埵峠のふもとの狭い土地を3つの交通が走る
薩埵峠のふもとの狭い土地を3つの交通が走る

台風が近づけば、東名高速は通行止めになる。高潮が道路にまでかかる場合があるからだ。もしもここが長期間にわたってここが寸断されると、東西物流が滞りかねない。第二東名高速道路が必要な理由の1つが、この由比宿-興津宿の海岸線にある。特異な場所であるからこそ、景観も独特になる。ここは今でもなお、ニッポンの交通の要所だ。【金子真仁】


東海道、東名高速ともトラックが多く走る
東海道、東名高速ともトラックが多く走る

「薩埵峠」へ行くには?

車でも進入可能ですが、道が狭いので(特に由比側)、昔の気分を満喫するためにも歩いていくのがオススメです。JR東海道本線・興津駅からでも、由比駅からでも、どちらからでも。どちらかというと街並みに風情があるのは由比側なので、そこを先に通るのか、後にするのかは、個人のお好みで。


Wonderful View No.133 “The Satta Pass”

National Route 1 is called Tokaido. It is the most famous road in Japan. The route had some traffic chokepoints. One of those was the seashore of Shizuoka, and the Satta pass nearby was used immediately as a detour. From the mountain pass, Mt. Fuji and Gulf of Suruga look very beautiful.


[DATA]

Address: Nishikurasawa, Yui, Shimizu-ku, Shizuoka-shi, Shizuoka-ken

Access: About 3 kilos from JR Okitsu station or Yui station

Parking: For 10 cars