広大すぎる「試される大地・北海道大陸」では、なかなかスポットライトが当たらないエリアもあり、内陸北部もその1つ。ふとドライブしているだけで、そんな場所でも絶景に巡りあえるのが北海道の底知れぬ魅力だ。道北の中心地・旭川市の北西にある幌加内町は日本一のそばの産地。広大なそば畑に、赤い屋根。美瑛を思わせる風景がある。


日本一のそばの里・幌加内町の風景
日本一のそばの里・幌加内町の風景

駅そばで有名な音威子府(おといねっぷ)は、北海道で一番人口の少ない村。スキー場から眺めると、コンパクトな村中心部がどこかかわいらしい。一望景観の面白さで上回るのが西興部(にしおこっぺ)だ。村中心部の建物の多くが、壁をオレンジ色に塗っている。積雪の白とオレンジが混ざった冬の景色は、日本とは思えない光景だという。


冬には白とオレンジの景色になる西興部村
冬には白とオレンジの景色になる西興部村

宗谷岬(稚内市)は「北の果てまで旅してきた証」として立ち寄りたい場所ながら、絶景地ではない。回れ右した背後にある宗谷丘陵(稚内市)がむしろ、絶景だ。起伏の多い牧草地は実に広大で、最北端のスケールを感じさせてくれる。丘陵西側には白いサンゴが敷かれたシェルロードもあり、その景観で旅人を興奮させてくれる。


最北端の「白い道」シェルロード。車でも走れる
最北端の「白い道」シェルロード。車でも走れる

北海道名物「まっすぐな道」の代表格が、最北端へとつながる日本海側のオロロンライン(豊富町など)だ。オホーツク海側にも旅人に人気の一本道がある。名をエサヌカ線(猿払村)という。牧草の緑を貫く、全長12キロを超える一本道だ。電柱もガードレールも信号も、何もない。アップダウンもなく、行く手は例外なく陽炎で溶けている。規模はオロロンラインに及ばないものの、景観の瞬間最大風速はひけをとらない。


オホーツク海側の絶景一本道、猿払村のエサヌカ線
オホーツク海側の絶景一本道、猿払村のエサヌカ線

「日本一青い」との噂だった神の子池(清里町)は想像の域を超えず、やや意気消沈。盛り返してくれたのが摩周湖(弟子屈町)である。裏摩周展望台、第一展望台と素晴らしい眺望を見せ続けてくれたが、最後に第三展望台でとんでもない絶景が待っていた。何というスケール、透明度だろう。まるで、神々が手作りした巨大な水たまり。実際、ここには流れ込む川もないという。とにかく圧倒される景色だ。


摩周湖はアイヌ語で「カムイ・トー(神の湖)」とも
摩周湖はアイヌ語で「カムイ・トー(神の湖)」とも

釧路湿原(釧路市など)は日本最大の湿原で、東京都心がすっぽり入る広さだという。湿原なのに全てが平らではなく、ちょっとした山も点在する。コッタロ湿原展望台(標茶町)もその1つ。中腹の展望台からは、湿原内を膨らみながら川が蛇行する「ザ・釧路湿原」の景色を楽しめる。南側からのアクセスは未舗装道。バイクや車がオフロードをガタガタ音を立てて走ってくるシーンも、コッタロ展望台の隠れた見どころだ。


コッタロ展望台以外でも標茶町は絶景だらけ
コッタロ展望台以外でも標茶町は絶景だらけ

真冬のジュエリーアイス(豊頃町)が話題になり、襟裳岬から釧路にかけての北海道の南東海岸線が少しずつ魅力を出し始めている。昆布刈石展望台(浦幌町)は砂浜を見下ろすオフロードの高台。北海道では珍しい景観で、各種ロケ地にも使われている。尺別の丘(音別町)は鉄道ファンに人気の撮影地。海沿いの原野を走るJR根室本線が絵になる。


晴れた夕暮れ時はすごい…らしい尺別の丘
晴れた夕暮れ時はすごい…らしい尺別の丘

すでに当コラムで紹介したオロロンライン、天に続く道(斜里町)、大倉山ジャンプ競技場(札幌市)、タウシュベツ川橋梁跡(上士幌町)、襟裳岬(えりも町)、地球岬(室蘭市)、城岱牧場(七飯町)、函館山の夜景(函館市)など、挙げればきりがないほどA級、特A級の絶景がずらり。全てを一気に満喫するには、やはり10日から2週間は欲しい。【金子真仁】