加計呂麻島から古仁屋へ戻った。サーターアンダギーだけでは腹が持たず、古仁屋に着いてすぐローソンに飛び込んだ自分に苦笑い。まだ外は明るい。ブラックコーヒーを流し込み、もう少しドライブだ。明るいうちに街へ戻るのは主義に反する。


古仁屋から島南西部・宇検村方面へ向かっていく。名瀬~古仁屋間は本当に運転しやすい道路だったが、ここからは島道の本領発揮。道幅こそ広めに確保されているものの、とにかく走りづらい。複雑な海岸線にそのまま沿った主要道。アップダウンするごとに海が見えるのはナイスだが、かなりの集中力を要し、夕方に運転する道ではなかった。加えて、工事も多いようで大型トラックと頻繁にすれ違う。


奄美大島南西部はカーブの多い海岸線の道
奄美大島南西部はカーブの多い海岸線の道

古仁屋から1時間少々、とのことだったが体感的には「まるで3時間」の道だった。相当な疲労感の末、瀬戸内町の西古見(にしこみ)地区に着いた。奄美大島最西端の集落で、名瀬から向かうと3時間かかる。奄美大島は広いのだ。ちなみに、奄美では集落を「シマ」と呼ぶそうで、各集落ごとの歌が「島唄」。今回は拝聴する機会はなかった。


高台から眺める西古見集落
高台から眺める西古見集落

西古見の沖には3つの岩があり「三連立神」と呼ばれている。参考資料によると、沖からやって来る神様が最初に立ち寄る場所とされ、古くから信仰の対象とされてきたそう。沖にある理想郷の名は「ネリヤカナヤ」。沖縄での「ニライカナイ」とおそらく同義なのだろう。左からウキヌタチガミ(沖の立神)、ナハンノタチガミ(中の立神)、ネッヌタチガミ(根の立神)と呼ばれている。


西古見の沖に並び立つ三連立神
西古見の沖に並び立つ三連立神

三連立神に、少しずつ太陽が近づいていく。一番西にあるから、きっと夕日も一番美しいんだろう。そんな安直な思いで西古見を訪れた。しかし、思ったより道のりが大変だった。暗くなってから名瀬に戻るには、ちょっと危なそうだ。少しだけ集落をふらっと見てから、夕日を待たずに帰るとするか。夕飯の支度中だろうか、出歩く人は誰もいない。


三連立神と岸壁アート
三連立神と岸壁アート

心に染みる岸壁アートを見つけた。「きはながく、こころはまるく、はらたてず、くちつつしめば、いのちながかれ」。いのちながかれ、に結びつくかはさておき「そうだなー」とつくづく思った奄美最西端。バックミラーから照らされながら、暗くならないうちに名瀬への道を急いだ。大人の選択をしたつもりになる。


そして、やっぱり後悔する。山道を抜け、宇検村中心部に差しかかった17時半ちょっと前。西日に照らされた。オレンジ色のエネルギー量が尋常ではない。あぁ、奄美の夕日は格が違ったんだ。やっぱり西古見に残ればよかったかな。絶景を隠す奄美の山々を恨めしく思いながら「それならもう、夜は美味いものを食うしかない」と開き直るしかなかった。【金子真仁】


なかなか強いオレンジ色になる奄美の夕日
なかなか強いオレンジ色になる奄美の夕日