「おもしろそうな博物館はありませんか?」。ベルリンの日本料理店で、知り合った方に聞いてみた。「博物館がたくさん集まっているところがあるから、行けば気に入るのがあるかも」。電車の乗り方を教わって1992年、行ってみた。

 5つの博物館がひとところにかたまっている。「上野の山みたいだな」と思いながら、パンフレットにある「青い神殿」が気になった。時間的に1つしかみられそうもないのでその神殿がある「ペルガモン博物館」に入った。

このあたり「博物館島(ムゼウムシンゼル)」というのだが、行った当時は世界遺産に登録されていなかった。「島」という印象はなかったが、ベルリンの中心を流れるシュプレー川の中洲にある。水路にかかる橋を渡ってペルガモン博物館に入った。

ペルガモン博物館
ペルガモン博物館

 印象に残っているのは2つ。1つは目当ての青い神殿だが、神殿だと思ったのは門だった。「イシュタル門」という、青く装飾されたレンガ? タイル?で覆われている。遠目に見ると、鮮やかな青色をしている。間近で見ると、けっこう痛んでいるのだが、圧倒的な青色に目を奪われる。

イシュタル門
イシュタル門

 この門は紀元前6世紀ごろ、古代メソポタミアの都市バビロン(バビロニア)の街にあったものを復元したという。動物の姿が浮き彫りのように焼き付けられていて、ライオン、雄牛に交じって、首が長いがキリンとは違う動物がいる。シリシュという想像上の動物でバビロンの聖獣。ちなみにイシュタルはバビロンの女神だったという。門をくぐって、ライオンを焼き付けた青タイルを張り付けた壁が左右にある廊下を通り抜ける。

シリシュは、想像上の動物でバビロンの聖獣だ
シリシュは、想像上の動物でバビロンの聖獣だ

 もう1つは「ペルガモンのゼウスの大祭壇」。博物館の名前になっている。こちらもかつてのように修復されていて、ギリシャ神話を題材にした大理石の浮き彫りがきれいに残っている。紀元前2世紀ごろ、トルコのペルガモン(現ベルガマ)にあったもので、ドイツ人が発掘し、持ち帰った物だという。

ゼウスの大祭壇
ゼウスの大祭壇

12年後の2004年、トルコのベルガマに行った。かなり大規模な神殿跡などが残っていた。こうした博物館や美術館の宿命といえるのだろうが、その国の人にとってはありがたいことではあるとしても、他国で発掘して自国に持ち帰るというのが果たしていいことなのかどうか。日本で邪馬台国の遺跡が外国人によって発掘されて「卑弥呼の祭壇」が国外に持ち去られたとしたら…ベルガマを見たときはちょっと考えさせられた。2014年にベルガマ一帯は世界遺産に登録された。

ギリシャ神話を題材にした大理石の浮き彫りがきれいに残っている
ギリシャ神話を題材にした大理石の浮き彫りがきれいに残っている

この島には一番新しいペルガモン博物館の他に、1830年に最初に建てられた旧博物館に加え、新博物館、旧国立美術館、ボーデ博物館がある。それぞれ展示品に「得意分野」があるそうなので、よく吟味してから行った方がいいだろう。急ぎ足で見ても、少なくとも1つに3時間ぐらいはかかると思われる。世界中から集められた「遺産」だらけなのは間違いないと思う。