シーズン前の長野・諏訪湖のワカサギ釣りに行ってきた。7月末に「諏訪湖のワカサギが死滅した」というショッキングなニュースが一気に流れた。本当なのか? その確認もあって、5日にサオを出してみた。結果からいうとワカサギは、いる。かなり元気。デカい。とにかくデカい。

 諏訪湖で何が起きたのか?

 7月26日夜から27日朝にかけて、コイ、フナだけではなくワカサギが死んだ姿で岸に大量に打ち上がっていたという。一部の報道では「ワカサギ死滅」とまで出回って「今年の諏訪湖は終わった」とのウワサがまん延していた。

 何が起こったのか?

 諏訪湖漁協では、貧酸素の水塊(すいかい)が湖全体に広がった、との仮説を立てている。7月は雨が少なかった。荒天がないため、湖水に新しい空気(酸素)が入り込まなかった。

 諏訪湖レジャーセンターでは「例年ある夕立すらなかった。水位が低くなって、あちこちの浅瀬に緑が増殖した」と話す。酸素の乏しい湖水が塊となって、26日夜の吹いた風で貧酸素水塊が湖全体に回った、と漁協では推察している。

 では、やっぱりワカサギはいなくなったのか?

 岸に上がった魚では、ブルーギルやブラックバスは、多くなかったという。どういうことなのか? 漁協関係者によると「諏訪湖に流れ込む川は何本かある。そこに湖からあがったと思われる。ギルやバスだけじゃなくて、相当数のワカサギも退避したのではないか。川には流れがあるから水の中の酸素も豊富なんじゃねーかなぁ」と分析した。

 これは希望が持てる。

 漁協では3、5日の両日に投網(とあみ)漁師による試釣が実施された。13艇出たが、例年よりも漁獲は少なかった。地元漁師は「群れを見つけてボートで突っ込むと、その気配を察してワカサギは四方八方に散ってしまう。警戒心が強いねぇ。そう考えると追いかけ回すんじゃなくて、決まった場所で待ち伏せできる釣りは有利かもね」と証言した。

 ただ、網で捕獲されたワカサギは、そろってデカい。すべて10センチ超。諏訪湖レジャーセンターでは「ワカサギは減った。でも、エサのプランクトンは通常と変わらない。食べる分が異常に増えたから、ワカサギもデカい」と説明した。

 湖に出た。浅い場所は水草が成長しすぎて、湖面が緑色に見える。ワカサギが水草に身を隠すには絶好ポイントになる。ワカサギがいそうなので、水草の際を狙ってみた。

 流れ込みの延長線上の浅い場所を狙った。水深は2メートル前後だ。すぐに反応があって、巻き上げるとハゼだった。ブルンという反応はあるが、ハリに掛からない。30分ほどやったが、反応は薄いまま。移動した。

 同じく流れ込みに絡んだエリアで水深3メートル前後でサオを出した。底付近でゴツン、という衝撃に近いアタリがきた。あれ、ここ湖だよな? と勘違いしてしまうほどの引きだ。糸をたぐると約10センチのワカサギだ。

 その後もパラパラと釣れる。まだ底付近。水温は23度台なので、まだワカサギの活性が高くなるまでには時間はかかりそう。

 ただ、ワカサギはいた。強烈な引きをするワカサギがいる。数釣りを楽しむのがワカサギだが、今シーズンは引きの力強さと大きさを堪能してみよう。【寺沢卓】

 ▼宿 諏訪湖レジャーセンター【電話】0266・53・6540。通常営業は、午前6時30分より受付、釣り時間は同7時30分~午後3時。ドーム船で2時間の観光コースでは、乗船代、サオ、仕掛け、エサ、遊漁料がついて大人4000円、中学生以下は2500円。1日釣れる一般コースは大人が4200円(遊漁料金込み)、中学生以下は2000円。エサ200円、サオのレンタル200円、仕掛けは5本バリ300円、7本バリ400円。