車はない。でも、房総に投げ釣りにいきたい。大丈夫です。電車&フェリーで行けちゃいます。連休明けでポカポカ陽気だった10日、横浜市在住のデザイナー大村マキコさんが簡単な手荷物だけで「ちょい投げおんな独り旅」にチャレンジした。投げ釣りは今回で3度目だったが、初めてシロギスを釣っちゃった。

 大村マキコさん(以後、マキちゃん)は、昨年、投げ釣り初体験。この日で3回目という、ちょい投げビギナーだ。これまでに釣れた魚は、クサフグだけ。まだ、本命のシロギスは釣ったことがない。

 マキちゃん 船シロギスは経験がある。それこそプルルン、って明確なアタリじゃないですか。ちょい投げだとどうなんだろう? とても興味深いです。

 京急線の京急久里浜駅で下車して、バスに乗ってフェリー乗り場に到着。午前8時20分発のフェリーに乗って東京湾を横断して、約40分で千葉・内房の金谷港へ。到着は意外に早い。

 その航海中に、船の売店で購入した「かっぱえびせん」を持ってデッキ屋上へ。袋を開いてひとつかみ海に。どこからともなく飛んできたユリカモメの群れが海面に落下する前に、放り投げたかっぱえびせんを華麗に空中キャッチした!

 マキちゃん これ、ウワサに聞いていたので、やってみたかったんですぅ~。釣りの前に野生のユリカモメとたわむれる。やる気出ますねぇ~。

 そして、金谷港から徒歩でJR浜金谷駅に。通常1時間に1本の電車だが、午前9時台の館山方面は、なんと4本もある。隣の駅の保田駅へ。ここは砂浜天国だ。歩いてすぐ、投げ釣りのできる保田中央海岸に行けちゃう。さあ、ちょい投げスタートだ。

 マキちゃんのサオは、大手釣り具チェーン店Jで購入した1580円のリール付きの投げ釣りセット。そこに10号オモリと一体になったピンクの天ビンに2本バリの市販仕掛け。電車に乗る前に金谷の岡澤釣具店で購入したジャリメを掛けて、ビュンッ! 昨年、投げ釣りデビューをしているので、投げるだけならしっかりしている。ところが、アタリはちょこちょこあるのだが、何も釣れない。

 マキちゃん エサはなくなってる。何かはいるんですよね。でも、こんなに広い砂浜に私ひとり。海の向こうに富士山も見えて、気持ちいいです。とっても晴れやかな気分になります。あとは魚ですね。

 今の時期、海の水もきれい。海と空の青に包まれて、砂浜の好きなところからビュンビュン投げられる。ストレス解消にはもってこいかもしれない。

 とはいえ、何か釣りたい。マキちゃん、フェイスブックに苦戦ぶりを投稿したら、マキちゃんの飲み友達の海洋環境専門家、木村尚さんが「だったら館山夕日桟橋に行けば。今、近くにいるから車で行こう」と、助けぶねならず“助け車”をかって出てくれた。

 まもなく救世主・木村さんが現れて、さらに南下して「渚の駅」に隣接する館山夕日桟橋まで連れていってくれた。JR館山駅からも徒歩10分ぐらいと交通の便も悪くない。さて、仕切り直しだ。

 太陽はかなり傾いてきた。まさに夕日桟橋。海側に約500メートルの桟橋が延びていて、遠投しなくても沖で釣りができる施設なのだ。基本的には船を停泊させるための桟橋で、目的の多様性を追求して釣りも「可」とした珍しいケースだ。

 細かいようだが、ルールがある。(1)歩道のない南西面だけで釣り可能(2)コマセエサはダメ(3)仕掛け投入はアンダーハンドで(4)桟橋先端部は船停泊の開放エリアなので釣り禁止(5)エギを含むルアー・フィッシングは禁止-現地に明記されているのに平気で破る釣り人がいる。残念でならない。

 マキちゃん、アンダーハンドで投入して30メートルほど投げられるようになった。木村さんが底をゆっくり引いてきてゴツン! 24センチのシロギスを釣り上げた。マキちゃん、その場所を譲ってもらい。しばらく底に仕掛けを放置して、ゆっくり巻いてきたらガッツーーーン、ときた。

 マキちゃん 気持ちいい。すごく分かりやすくアタリがきました。これが投げ釣りのキスなんだ。チョー感動ですね。今度はフェリーと電車で館山を目指してみます。

 木村さんの釣ったシロギスももらって、マキちゃん、この日の夜はシロギスのカルパッチョをつくって「大満足でーす」(マキちゃん)とのことだった。

 ▼宿 金谷「岡澤釣具店」【電話】0439・69・2232。午前5時から営業。館山「マリンスポット釣吉」【電話】0470・33・2880。24時間営業。ともにエサ、仕掛け、ちょい投げセットなど販売。釣りの相談もお気軽にどうぞ。