静岡・大井川港「海政丸」の夜→朝釣りタチウオが、本格化してきた。深夜1時半に集合して、朝8時まで駿河湾で狙う。漆黒の闇夜から、水平線から昇る太陽の輝きを実感できる。しかも、うだるような暑さから逃れられる釣り。駿河湾にしてはやや細いタチウオが多いが、ときおり体高と厚みのあるでっぷりした魚体にも出合えるぞ。

 海政丸のタチウオ釣りは16日から開幕した。実際には17日午前1時半集合なのだが、16日の夜から続いているため、海政丸では「16日の釣り」という案内をしている。

 21日に最多50匹、翌22日が同45匹と、タチウオの食いっぷりにスイッチが入ってきた。取材日はタチウオが“目覚める”前の18日にだった。

 まだ星のまたたく深夜1時半、海政丸は出船準備に入る。日中のモワッとした熱気はない。むしろやや肌寒く感じる。薄手のウインドブレーカーは、用心のため必要だ。主戦場は吉田沖で、移動時間も20分前後。沖の風も涼やかで、真夏のこの時期には貴重な避暑体験になりそうだ。

 実際の釣りも、体に優しい。昼間では海面から100メートル前後でヒットするが、夜間だと同20~40メートルで強烈な引きを味わえる。タチウオの調子にもよるが、海面でシルバーの魚体をギランとさせる場合もあって、浅場の釣りを思う存分楽しめる。

 誘いは、駿河湾独特の「間」がある。エサ釣りの場合、比較的動かさない。むしろ、置きザオにして待つぐらいの悠長さが求められる。望月茂樹船長の指示ダナ(魚の泳層)でサオを固定して待つ。もしくは、ゆっくりとリールを巻いて軽くシャクる。ルアーはジグを速く動かしたり、ゆっくり操作したりと、どれだけ緩急をつけられるかが、釣果を伸ばす秘訣(ひけつ)になってくる。

 海政丸では、エサでもルアーでも乗船できる。通常のエサ釣りならば、オモリ120号でリールに巻くPEラインは4号。ライトタックル(LT)のエサ釣りだと、オモリは60~80号でPEラインは2号以下がいい。ハリスはLTも8~12号で2~3メートル、ハリは大きめの「3/0」がいいだろう。メタルジグは100~150グラムがオススメだ。また、大きなアジも同じタナで、エサでもルアーでもヒットするのがうれしい。

 まだシーズンは始まったばかり。猛暑を避けて夜から早朝で狙う、体に負担のかからない釣り。ものは試し、引き味の強烈さもぜひ体験してみてください。

 ▼大井川港「海政丸」【電話】054・622・2116。午前1時30分集合、同2時出船、同8時沖あがり。エサ&ルアー同乗可能。エサ釣りはサンマ切り身と氷付きで1万1000円、ルアーは氷付き1万円。