茨城の海で大型が待っている。12月1日からヒラメ釣りが全県で解禁となり、大洗では連日大型があがっている。そして、鹿島ではブランドにもなっているマダコが最盛期だ。正月用として珍重されているが、あまりのおいしさにクリスマスまで待てそうにない。この2つの旬を使ったディナーコースを10日、世界的なイタリアンシェフが練り上げた。2回にわたって紹介する。

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ヒラメ釣りは、夏の外房に始まり、徐々に北上。11月1日に茨城・波崎沖限定で開かれ、最後は12月1日から茨城県で全面解禁となる。

茨城県では、ヒラメは「県のシンボル」に指定されている。肉厚でジューシー、刺し身にすると口の中に甘みがじんわりと広がっていく。絶品とはこのことであろう。

今回は、山形県出身のイタリアンシェフ奥田政行さん(50)に調理してもらい「釣った魚をおいしくいただくディナー」を10日に開催したばかりだ。

釣った魚のおいしさの実力を知ってもらうことに心血を注ぐ海洋環境専門家の木村尚さん(63)が、食材を釣りながら集めた。まずは5日、大洗「きよ丸」の開幕直後のヒラメがトップバッターとなった。

釣果は好調で、連日3キロ超が釣れていて「大判ビラメの大洗」の健在ぶりを示していた。

きよ丸の飛田和弘船長は「大きいのは掛かるんだけんど、ちょっと深けぇかな。浅くても30メートルですねぇ。生きたイワシを泳がせるけど、ちょっと誘いを入れるといいみたいだね」と話していた。

木村さんは3キロ級を1匹ゲットできた。飛田船長から「昨日(4日)さ、ウチの仲乗りが3キロと4キロぐらいの2匹を取っておいたから、持っていっておいしいイタリアンにしてください」と提供してくれた。そのほかに丸々と太ったイナダもキープできた。食材捕獲は順調な滑り出しだ。

▼船 大洗「きよ丸」【電話】029・266・2779。ヒラメ乗合船は午前5時出船。生きエサ&氷付き1万2000円。

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茨城の海は豊かで幅がある。最盛期なのはヒラメだけではなく、正月を見据えたマダコ釣りも大にぎわい。木村さんが訪れたのは8日。さすがに日曜日で、鹿島「第三幸栄丸」は鈴なりのマダコ客だ。

今年、東京湾では爆発的にブームとなったエギでのタコ釣りは、この数年で鹿島では定番となっていた。乗船した全員がタコエギ釣り人だった。鹿島は関東地区におけるタコエギ先進エリアでもあった。

東京湾と趣が異なるのは、エギに装着するオモリのサイズ。東京湾は15~20メートルの水深のポイントを攻めるが、鹿島では30~40メートルの深場を探る。流れの速さもあって使うオモリは60~80号だ。東京湾では15~20号なので、サオでの小突きやシャクりなどのアクションは力強く打たないと、サオは派手に動いていても、エギまで動きが伝わらない可能性もある。

胴からしなって、強さを併せ持つタイプのサオが適しているかもしれない。ただし、サイズは1キロ超が多いので、ガッチリとしたリールもあると便利だろう。

エギは2つつないで、それぞれの色を「白」「赤」とか「黄色」「濃い青」など反対色にして、海中で目立たせるとマダコの反応も良さそうだ。

木村さんは2匹。1・5キロ前後のグッドサイズを仕留めた。「操作性が高くてはっきりとマダコにアピールできるエギがいいだろうね。でもさすがに“鹿島ダコ”なんてブランドにもなっているから、うまそうだね」と舌なめずりしていた。(つづく)

▼船 鹿島「第三幸栄丸」【電話】0299・82・6032。マダコの乗合船は午前4時30分集合。氷と昼食のカレーライスがついて1万2100円。