前岡正樹選手(尾鷲)が6度目の挑戦で念願のG杯制覇を果たした。グレ(25センチ以上)の総重量を競う「第38回G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権」(主催・(株)がまかつ)が2、3日、大分・米水津一帯の磯を舞台に全国の予選を勝ち上がった36選手(シード、推薦を含む)が参加して行われた。決勝戦は前岡選手と藤井夢人選手(徳山)が横島3番で1時間40分戦い、前岡選手が5070グラム(10匹)対3060グラム(6匹)で藤井選手を破り見事、優勝を飾った。3位には鶴永貴史選手(シード)が入った。

「ようやく師匠や応援してくれた人たちの思いに応えられました」。表彰台のてっぺんに上がると緊張していた前岡選手の表情から思わず笑みがこぼれた。師匠の横井公一氏(第27回G杯グレ準優勝)や宮崎・西都市から応援に駆けつけてくれた友人の河野尚史氏(第30回G杯グレ準優勝)、そして妻・夏子さんへの感謝の思いを込め、優勝カップを高々と掲げた。

28歳のころにグレ釣りを始め、04年には名手・三原憲作氏(第11、15、22回G杯グレ準優勝、第13回G杯グレ3位)が所属する「竿友会」に入会。横井氏と出会った。三重・尾鷲の磯へ釣行したとき、自分の釣りを見てくれた横井氏から「もう1メートル手前に引いて」と助言をもらうとすぐに40センチ超のグレが釣れた。

そのとき、自分には見えなかった魚の動きを見抜いた横井氏の洞察力に驚かされ、この人についていこうと決めた。その後も、横井氏から条件が異なるいろんな磯でグレの攻略法を学び、一緒に行けないときにも横井氏が知人に指導を頼む徹底ぶりでとことんフカセ釣りの技術を教え込まれた。

そして07年からG杯グレに挑戦。師匠の「早く俺を超えてくれ」との願いを受け、優勝を目指すが全国大会の壁は厚く、これまで決勝大会に5回出場するが最高で6位止まり。そんな前岡選手にとって今回、心強い援軍・河野氏が試し釣りに同行してくれた。

河野氏とは8年前の第30回G杯グレで知り合い、意気投合した間柄。九州の磯釣りに精通しており「米水津のグレ釣りは1カ所で粘らず、刻々と変化する潮のヨレをタナを決めて釣らないと数が伸びないよ」というアドバイスをもらい、予選を突破。決勝まで勝ち上がることができた。

決勝戦は午前中のうねりが収まった「横島3番」で行われた。トーナメントでは1匹のバラシが命取り。確実に取り込むために小針を使ったのも功を奏した。針をのみこませる覚悟で合わせを遅らせ、確実に1匹ずつグレを仕留めていき、合計10匹(5070グラム)を釣り上げ、6匹(3060グラム)の藤井選手に快勝した。「来年はまき餌の調整、遠投の釣りなどに磨きをかけ、再び表彰台の頂点に立ちたいです」ときっぱり。連覇へ向け、前岡選手がさらなるレベルアップを図る。【中村和嗣】

◆前岡正樹(まえおか・まさき)1974年(昭49)7月2日生まれ。豊田市在住。会社員。グレ釣り歴17年。ホームは三重県の磯、静岡・伊豆下田など。竿友会所属。