神奈川県箱根町の芦ノ湖に、今年も釣りのシーズンがやってきた。湖尻地区「うえ乃」(仁階堂実店主=68)では通常解禁初日となった2日、40センチ級のニジマスやサクラマスなどが上がった。前日のポカポカ陽気から一転、冷え込みと雨に悩まされる悪条件ながら、ルアー、フライ、トローリングと思い思いの釣り方で獲物を確保していた。

ターゲットは確実にいた。ただ、条件が悪かった。1日は穏やかだったが、2日になって北風が吹いて冷え込んだ上、予報では昼すぎにやむはずだった小雨がずっと降り続いていた。指先が冷たくなる「寒の戻り」だったが、狙い通りにヒットさせていた。

ルアーマンの石辺良洋さん(静岡県裾野市=48)は九頭竜でスプーン10グラムをキャストし続けた。3つほど数えて落とし込む。宙層よりやや上をズルズルと引いて誘った。朝一番で40センチ級のニジマスを取り込んだ。ほか、同じようなサイズを3匹。「大きく合わせるというよりも、小さく手首を立てる程度に食わせて掛けた」と振り返る。全般にアタリが小さかった。活性が高ければガガーンと明確なアタリが出て穂先が揺れるが、低いためコツコツッと針先を触る程度。確実に確保するには、小さいアワセで対応した。

同乗していた仲間の塩川豊さん(三島市=63)はフライ専門だった。ラインはシンキングのタイプ3、フライは黒のストリーマー10番。大物がいそうな底を狙った。結果は石辺さんと同じようなサイズを4匹。「解禁初日に初めて参加しましたが、面白かったです」と笑った。

同じフライでも早野好幸さん(藤枝市=50)は20年ぶりに参戦した。貴重な1匹を正午ごろに飯塚でヒットさせた。塩川さんと同じシンキングのタイプ3。こちらは宙層を狙っていた。「食いが浅くて、その前に1回バラした。5センチあったマラブー(フライ)を3センチに短く切った。食わせたと思ったらラインを引いて魚の重みを確認しつつ、ロッドのしなりで耐えてリールを巻いた」。

トローリング組も戦略を立てていた。小山町で幼稚園からの同級生という牛山雄一さん(37)と渡辺嵩(たかし)さん(37)は、40~45センチのサクラマス、同サイズのニジマスをヒットさせた。七里ケ浜の宙層で3~6色(1色10メートル、30~60メートル)出し、長さ10センチのワカサギカラーのミノーを引いていた。「最初に釣り上げたニジマスが口から同じような長さのワカサギを吐き出した。これを食べていると分かり、ずっと誘った」(牛山さん)。アタリは頻発していたがやはり食いが浅かった。「サオの穂先が少し揺れたと思ったら、アクセルを吹かしてボートを急発進させ、逃げる魚を演出して追わせて食わせた」(渡辺さん)。

同じくトローリングをしていた高橋徹矢さん(37)と美咲さん(38)の夫妻は、プリンス前で6~9色(60~90メートル)も出して底付近を探っていた。2人で40センチ級のサクラマスとニジマス、30センチ級のヒメマスなどを得た。

解禁当初の芦ノ湖の攻め方は2通り。「マス類は朝方は、桟橋周りや観光船ワンドなどにいるワカサギを捕食しようと突っ込んでくる」(仁階堂店主)。「陽気が良くて水温が上がれば、午後から大物は底へと潜る」(石辺さん)。ヒントがいくらでもある。70センチを超えるスーパーレインボー(大型ニジマス)は、どこかに潜んでいる。【赤塚辰浩】

◆ボート 芦ノ湖「うえ乃」【電話】0460・84・8471。出舟午前6時30分(15日から6時)、桟橋着午後4時30分。日釣り券1500円、年券1万8500円。手こぎボート2人乗り3500円(半日3000円)、3人乗り4500円(同3500円)。エンジン付き3人まで9000円(同6500円)、4~6人まで1万1000円(同8500円)。マス類(ニジマス、ブラウン、ヒメマスなどは)1人15匹までに制限。18センチ以下のマス類は放流。釣りは12月14日まで。揚げたてのワカサギが味わえる「ワカサギ定食」など、食事も可能。http://www.kojiri.com/

※放流情報などは、芦ノ湖漁協のHP=http://www.ashinoko.or.jp