夏から秋へと季節が移り、淡水ではワカサギのシーズンに突入した。9月19日から今季がスタートした長野・諏訪湖「諏訪湖レジャーセンター」ではここに来て、トップ400匹台を記録するなど数が伸びている。今は6～7センチが多いが、時折12～13センチのシシャモ級も掛かる。秋が深まって水温が低くなり、遊泳層も限定しやすくなればチャンス増大。確実にアタリが分かって針掛かりできれば、初心者にも楽しめ、100匹以上の束釣りも夢じゃない。各湖のワカサギの状況もお伝えしよう。
ワカサギは確実に当たってきた。おせち料理に使う田作り（カタクチイワシの幼魚）かメダカの兄貴分みたいな当歳でも、プルッとノベザオに魚信が伝わる。ドーム船の水深3メートル。「ワカ様は底にいる」のセオリーから始め、オモリを着底させて小突いて誘う。アタリがあったら、手首を少し返してサオを立てて取り込む。活性が高くなると、底を小突くだけではなく、少しサオをあおって仕掛けを上げてやる。5～7本針の一番下ではなく、真ん中とか一番上の針に掛かってきた。中には2～3匹の多点掛けも見られた。
6～7センチの当歳が主体で型こそ小さめだが、数は伸びる。1本は置きザオ、もう1本は絶えず手で持って誘っていた浅利純司さん（69＝山梨・小淵沢）は、435匹を記録した。「当たりがダイレクトに来て面白い」。時には12～13センチの2年物も交じった。
小学生時代からの同級生という坂口晴彦さん（45＝愛知県春日井市）と、村川直樹さん（45＝名古屋市）は、ともに午前中で100匹を超えていた。「ワカサギは絶えず水中で仕掛けのエサをつついている感じ」（坂口さん）「小突きながら少し誘い上げた方が食ってきた」（村川さん）。小型対策として、エサの紅サシを針に通したらハサミで半分に切っていた。こうして食わせやすくしている。
「釣果を得るには、1本ザオでもいいので手持ちにして誘うこと。1匹でもいいから確実に拾って数を伸ばすこと。エサはこまめに交換する。時には半分に切ってもいい」と、諏訪湖レジャーセンターの藤森邦明さん（70）はアドバイスする。ドーム船の釣り人はこれらを守っていた。
スタートして約3週間。日によって最低気温は10度を下回るなど、朝夕の冷え込みこそ厳しくなっているが、晴れれば日中の気温は25度近くまで上がる。暑さが和らいでまとまった雨が降り、気温も水温も15度台となれば、冷水を好むワカサギの群れは底に集結する。一気に条件も良くなる。「10月半ばから2カ月間が最もいい時期でしょう」（藤森さん）。紅葉を愛でながら初心者でも楽しめる。
ワカサギといえば、天ぷらやフライ、マリネなどが定番の料理でもある。獲物のハラワタを親指と人さし指でつまんで出していた浅利さん、2つのオリジナル・メニューも教えてくれた。
＜1＞しょうゆ、砂糖、タカノツメを混ぜて、素揚げにする
＜2＞塩こうじに漬け、約2日かけて干物にしたら、サッとあぶって食べる
釣り人ならではの特権だ。【赤塚辰浩】
▼釣り宿 諏訪湖レジャーセンター【電話】0266・53・6540。今シーズンは電話予約制。営業は午前7時から午後3時
▼遊漁料 日釣り券高校生以上1000円、中学生以下無料
▼ボート 手こぎ（定員2人）1日4000円、エンジン付き（4人まで）1日1万円、4人を超える場合は1人につき2500円加算
▼ドーム船 高校生以上3200円、中学生以下2000円。貸しザオ1本200円、仕掛け付き500円。仕掛け5本針300円から。2時間観光（体験）コース（ドーム船利用料・遊漁料・サオ・仕掛け・エサ付き）は高校生以上4000円、中学生以下2500円
▼コロナ対策 マスク着用。釣り宿で受け付けの際、感染防止チェックリストに必要事項を記入して提出する。3密を避けるため、申し込み手続きはグループの代表者に限る。今年のドーム船は感染対策でトイレがない。事前に済ませておく。
【その他の各湖の概況】
◆西湖「白根」 【電話】090・4917・4480 9月20日解禁。「店前の15～18メートルで群れは濃いが、水温が18度と例年よりも2度ほど高い。15度まで下がればチャンス」（渡辺安司店主）。12月31日まで。
◆河口湖「ハワイ」 【電話】0555・76・7629、神流湖「山水」 【電話】090・5536・9982 10月1日解禁。まとまった雨と冷え込みに期待。
◆相模湖「柴田」 【電話】070・3660・6363 10月半ばスタート予定。「試し釣りしたら、当歳の5～6月生まれは6センチ前後、同じ当歳の2～3月生まれは12センチあった」（橋本一伸店主）。
◆精進湖「湖畔荘」 【電話】0555・87・2003 11月1日解禁。
◆円良田湖「管理事務所」 【電話】048・581・8511 11月4日スタート。ボートの予約受け付け中。今年は卵6000万粒を放流しており有望。
