千葉・飯岡「梅花丸」(梅花武幸代表=58)の「第7回マダイダービー」が昨年、終了した。8月15日から始まったダービーは1回の釣行につき、最大重量の1匹がカウントできるという総重量制。高橋宏通さん(60=茨城県つくば市)が80・89キロを釣り上げて優勝した。最終日となった12月20日の午後便には上位16人のうち、都合で乗船できなかった高橋さんら3人を除く、13人がエントリー。北西風が吹き付ける悪条件の中で、自慢の腕を披露する「梅花丸オールスターズ」の競演となった。

海岸線に立つ工場の煙突の煙はほぼ直角になっていた。冷たい北西の季節風が7~10メートルも吹き、ウネリもある。船の前方から後方にかけて流れる潮が速い。「底が取れない」「風でアタリが分からない」。ボヤキがあちこちで聞かれたが、開始からたった10分で空気は一変した。

右舷トモ(後方)2番手で、佐藤勝敏さん(55=千葉県松戸市)が掛けた。「着底してすぐに食った」という。400グラム程度の小ダイだった。1匹出たことで、5~6キロの大ダイを釣り上げてきたベスト16の面々にスイッチが入った。

梅花亮佑(りょうすけ)船長(32)が、「水深25メートル、下から3メートルまで反応があります」などとアナウンスする。アタリも頻繁にある。同じようなサイズの「尾頭付き」が次々と上がる。悪条件対策にと、一瀬英一さん(52=横浜市)のように普段使っている8~10号のテンヤを誘導式の12号に重くするなど、底まで着くように工夫していった。

右ミヨシ(最前方)ではダービー2位の石井一さん(55=群馬県太田市)は釣り座を生かした。遠投してのカーブフォールで、底をトントンと小突きながら手前に寄せて匹数を伸ばした。「たまたま最終日は底付近での誘いに分があったと思う。ここのマダイは、落とし込んでいる最中に食ってきた時もあれば、タイラバに反応するとか、パターンがいろいろで引き出しの多さが必要」と話した。

一方で、自分の釣り方にこだわった人もいた。左ミヨシでは、13位の渡辺久衛さん(40=福島県棚倉町)がメタルジグ40グラムで最初から最後まで誘っていた。ほかにも昨年の年間チャンピオンに輝いた右トモの佐藤穣さん(50=千葉県市川市)はベタ底で探るなど、思い思いの釣りを楽しんだ。

この日だけで7匹もの荒稼ぎをしたのは、右ミヨシ2番手にいた飯島保茂さん(48=東京都板橋区)。風にアオられる道糸をうまく張って手前の方で着底したテンヤを小突いて掛ける。まさに「飯島デー」となった。「持っているパターンを試して、早めにアタリを探らないと食わないと思った」。

出船を見合わせてもおかしくないような条件での最終戦。ある参加者からは、「上手な人がいろいろな方法でマダイを釣るから勉強になる。見ていても楽しい」との声も聞かれた。

スタート当初から10月までは、たえず5~6キロという大ダイが出ていた。後半はサイズが小さくなり、数釣りとなった。梅花丸では今年もマダイダービー開催を予定している。時期や審査方法は後日発表される。どんなタイにお目にかかることができるか、それまで道具の準備と情報収集をしておいてください。【赤塚辰浩】

○…優勝した高橋さんは、1回の釣行で5・8キロを筆頭に2~3キロ級までを含め、約30匹を確保したという。「夏場の仕掛けの落とし込み時に着底前にアタリを取れたのが大きい」と振り返る。

実戦で注目していたのは、糸の変化。落ちていくはずの道糸が止まったり、横走りするのを見逃さなかった。同時にサオ先にも集中した。穂先がスッと下がればすぐに合わせた。「空合わせになっても、誘いになる」と考えた。

食わせるために重要視したのは、エサ付け。エサとなる冷凍エビの頭が取れてしまわないように丁寧に針に掛けた。親針を尾から腹に抜いたら、孫針の先を頭と腹にしっかり入れる。「エサ付けが5割」と言い切るほど、きちんと落ちることができるよう、細心の注意を払った。

○…梅花亮佑船長によると、20年シーズンは2キロ以上が多い「当たり年」だったという。「すっぽ抜けさえ気を付ければ、難易度は低かった」と表現した。参加者もアタリの取り方や、掛けた後のやりとりなど、回を重ねるごとに上達しているという。

船長推奨の仕掛けは、道糸PEラインの0・8~1号、リーダー3号5~6メートル。大ダイ仕様は、道糸PE1・2~1・5号、リーダー5号5~6メートルとしている。テンヤは3~15号。潮のスピードや水深に応じて使い分ける。

▼船 梅花丸=【電話】090・2155・0500。午前便は船宿4時、午後便は同10時30分集合。料金要確認。ヒラメ午前便もあり。https://baikamaru.com/