「アニキ」こと俳優哀川翔(59)がサオ頭に輝いた。大好きな静岡・熱海「喜久丸」(松本早人船長=45)からアマダイ五目狙いで出船した。昨年暮れには仲間4人と同じ狙いで、アマダイが1匹しか釣れなかった。年が改まって釣況が上向き始めた熱海沖で、28~38センチの本命を3匹ゲット。常連の川口隆彦さん(77=東京都杉並区)とともに、トップとなった。今回は愛知県から呼び寄せた釣り仲間2人を含め、6人全員がアマダイを釣り上げ、大満足だった。【赤塚辰浩】

アニキはリベンジに燃えていた。昨年暮れに5人で出て、釣れたのはアニキとヤマちゃんの各1匹。「リベンジだ」。帰港後すぐ、年明けの釣行を考えていた。しかも今回、岡本順哉さん(48=名古屋市)、通称「とく二郎」こと小笠原利明さん(53=碧南市)と、愛知から助っ人も頼んだ。

朝6時すぎに出船し、すぐにポイントへと着く。朝日が差し、波も穏やか。絶好の釣り日和だ。1時間もしないうちに左ミヨシ(最前方)でとく二郎がサオを2、3回シャクっている。「オモリ(80号)が底に着いて糸フケを取っていたら、モゾモゾと食った感じがした。道糸を50センチほど送り込んたら食った。合わせて巻いたら途中で三段引きされ、アマダイだと分かった」。この船中第1号から、ポツポツとサオが絞り込まれ始めた。

左トモ(最後方)のアニキは長さ3メートル、2本針のハリスを使い、オモリを着底させたら2メートル巻き上げて置きザオで待つ。一番下の針に付いたエサのオキアミは、砂地の底ではうようにしていた。これでアマダイの目の前に漂って食い気を出せば、本命は出るはずだ。思いとは別にキントキダイやイトヨリダイが掛かる。「タナ(魚の遊泳層)は間違ってないよ」。ポジティブにとらえていた。

右トモ2番手では、川口さんが7時50分ごろに1匹目(33センチ)を釣り上げる。「2メートルのハリスで、1分おきに起伏のある底を確認しながら巻き直していた瞬間に掛かった」。川口さんの貴重な情報は、アニキの参考になった。

8時15分、クンクンと穂先をたたく当たりが出た。「来たよ」と巻き上げる。宙層でタイ特有の三段引きも見せた。本命だ。スイッチが入った。地道に「3メートルのハリスを2メートル上げて誘う作戦」で10時ごろと、10時35分ごろに連釣した。気が付けばアニキの右隣にいる岡本さん以下、ノブちゃん、スギちゃんと、左舷は仲間全員が本命アマダイをゲットしていた。川口さんも順調に数を伸ばす。

右舷ミヨシのタケちゃんだけは、出遅れていた。松本船長が11時ごろに実演指導を行う。「手持ちのサオで3メートルのハリスを使っている場合、オモリを着底させたら、ハリスの長さだけサオを上げて底を引きずるようにして誘う。次にサオを下げてまたオモリを底に着ける。この繰り返し」。

最後のひと流し、ドラマが待っていた。タケちゃん、「何か食ってます」とリールを巻く。ピンクの魚体が海中から姿を見せた。貴重なアマダイだった。

年明け早々から40~50センチ級の良型も出始めた熱海沖のアマダイ。3月半ばまでは楽しめそう。アニキも船長もしていた「ハリスは底付近を引きずる&上げ下げしてエサを躍らせる」釣法を実践すれば、型をみられることは証明できた。アニキは、「成績優秀だ」とチーム全員で獲物を手に記念写真を撮影していた。

<アドバイス>

◆付けエサ オキアミは形のしっかりしたものを選ぶ。2匹を抱き合わせに。1匹目は尾を切って針先を刺し、腹側に抜く。2匹目は腹から尾の近くで針先を止める。

◆仕掛け アニキがこの日こだわったのは、ハリス4号3メートル、針はケン付きの丸カイズ13号(2本針)。ケン付きだとオキアミがすっぽ抜けず、エサ持ちが良かった。丸いタイプよりしっかり針が口の奥にかかっていた。

◆針をのまれたら ハリスを手で持ちながら、もう一方の手で握った割り箸を口から突っ込み、4回ほど振り回す。こうすると、抜ける。

○…アマダイは身が崩れやすく、釣ったばかりの時を除けば刺し身にしづらい。上品で淡泊な白身は、揚げ物や焼き物に向く。ウロコも食べられる。

揚げ物で有名なのが「松笠(まつかさ)揚げ」。ウロコを取らずに三枚におろしたら、適当な大きさに切る。ウロコの付いた皮の水分はあまり取らない。身の方に少し片栗粉をつけ、180度程度の油で1~2個ずつ皮の方から揚げる。ウロコが開いて「松ぼっくり」のようになり、浮いてきつね色になったら、ひっくり返して身の方も揚げる。

焼き物は、やはり三枚におろしたアマダイをしょうゆ5、お酒3、みりん2の割合で合わせた調味料に1時間ほど漬け、オーブントースターかじか火で焼く。仕上げはみりん2、お酒1に塩少々を混ぜ合わせて塗れば、表面にツヤが出る。ほかにもお酒に塩を少々加えて塗り、乾いたら塗るを3~4回繰り返してオーブン焼きすると、くさみが抜けておいしい。

▼熱海「喜久丸」【電話】090・5456・8449。午前便は6時、午後便は正午集合。エサ・氷付き1万1000円。貸しザオ(仕掛け付き)2000円、追加の仕掛け1枚500円。釣り座にはロッドキーパー(サオ掛け)とテンビン、ビシ、クッションゴム付き。