神奈川県箱根町の「芦ノ湖」に釣りのシーズンがやってきた。湖尻地区の「うえ乃」(仁階堂実店主=69)では、1日のルアー・フライ限定特別解禁釣大会の参加者が60センチ超えのレインボートラウト(ニジマス)を続々とヒットさせた。2日からは通常解禁としてエサ釣りも始まった。芦ノ湖漁協では解禁前の2月、ニジマスやブラウントラウトなど合計1万トン以上も放流。中には3キロ超級も含まれており、まだまだ大物が上がりそうだ。

「スーパーレインボー」をクーラーやタモの中に入れて、特別解禁に参加したルアーマンが引き揚げてきた。全長は60センチを超える。中には体高15センチ以上と堂々たる風格を漂わせていた。「今年もやっぱりいましたね。例年通りのサイズのニジマスですよ」。毎年のように訪れる石辺良洋さん(49=静岡県裾野市)は、九頭龍で62センチをゲットした。10グラムのスプーンを着水後、1~2メートル落としてタダ巻きしていたら掛かった。

ひときわ目立ったのは、石川隼人さん(40=沼津市)の64・8センチ、3・7キロだ。亀ケ崎の突端より少し元箱根よりで、7グラムのジグヘッドに自作の羽毛を巻いた「フェザージグ」を沖から岸に向けてキャスト。水深1メートルほどの表層でジグザグにして誘う連続ダートでヒットさせた。「昨年6月に三ツ石で岸から70センチを釣ったことがあるが、重量感が全く違った」と満足そうだった。

七里では飯島雄太郎さん(28=相模原市)が62センチをオレンジ&迷彩カラーの5グラムスプーンに食わせた。浜に向かって着水したら15ほど数えて落とし込み、ゆっくり巻いていた。「急に重くなった。潜って抵抗された。今までで1番のファイトでした」。ボートでの釣りは初めて。船べりで1度反転して暴れ、同乗していた仲間の山元秀平さん(28=横浜市)のタモ入れ2回目で取り込まれた。

この日最長は、67・4センチ(2・81キロ)。埼玉県の斉藤文彦さんがキャンプ場前でオレンジの5グラムスプーンでヒットさせた。「昨年3月に同じ場所で64センチを釣った。今回も同じパターンだった」と振り返った。

同じポイントでは清田浩仁さん(50=神奈川県逗子市)が金黒、6グラムのスプーンを投げ、64センチを確保している。「スローで巻いていたらフッと食い上げた。次の瞬間に横走りした。体高があって、見た目以上にデカい感じがした」。また、同所で立ち込んでいた浅井雅司さん(44=東京都西東京市)は、ルアー(チャートリュース系の6・1グラムスプーン)を投げて65・8センチ、4・31キロをゲット。「ワカサギの接岸が見えたし、チャンスだと思った。着底して引き始めたらモサッと引っ張られる感じで重くなった」と言う。のっそりと湖面から現れた獲物を見て、「デカッ!」と思わず叫んだ。

九頭龍や亀ケ崎は岬周りで、魚にとって身を隠しやすい生い茂った木が覆いかぶさった水通しのいい岩盤地帯。九頭龍では、青木直人さん(57=埼玉県狭山市)が7センチ、ヤマメカラーのシンキングミノーで49センチのイワナをヒットさせた。七里やキャンプ場は日当たりのいいカケアガリで、エサとなるワカサギの接岸もあった。マス類にとってたまりやすい条件がそろえばそろうほど、チャンスは増す。

地元の芦ノ湖漁協では前年と同量である約9000キロのニジマス、ブラウントラウト約2000キロ(前年は205キロ)を解禁前に放流した。初日の「うえ乃」ではニジマスばかりが目立ったが、大型のブラウンもどこかにいる。例年通り、シーズンは12月14日まで。さあ、出掛けよう。

【「2021芦ノ湖ルアー・フライ限定特別解禁釣大会」各部門優勝者(参加571人=正午現在、芦ノ湖漁協調べ)】

▼レインボートラウトの部 竹村暁夫(世田谷区)71・5センチ(5・67キロ)

▼ブラウントラウトの部 渡部和也(練馬区)71・5センチ(4・68キロ)

▼サクラマスの部 真栄田敬紀(横浜市)43センチ(1・13キロ)

○…うえ乃推奨のエサ釣り仕掛けは、オモリ3号、片天(腕長5~6センチ)にハリス1号45センチ、マス針7号。着底したら40~50センチほど上げて、アタリを待つ。解禁当初はウキ下を3~5メートルほどにして表~宙層にエサを流しても面白い。どちらもエサのイクラは針が隠れるほど全体に付ける。白くなったり、中が出て平べったくなったら交換し、常に新しいエサを付けておく。

◆禁止 夜釣りとワームはNG。路上駐車は事故の原因になったり交通渋滞を招くので、必ず駐車場に。

◆エサ釣り 5月31日まで、亀ケ崎と三ツ石を結ぶ場所は禁止。また、岸や桟橋からのエサ釣りも3月31日まではできない。

◆制限匹数・放流 マス類(ニジマス、ブラウン、サクラマスなど)は計15匹まで。18センチ以下は放流。

詳しくは、芦ノ湖漁協のHP=http://www.ashinoko.or.jp/

▼舟 芦ノ湖「うえ乃」【電話】0460・84・8471。出舟午前6時30分、岸着午後4時30分。手こぎボート2人乗り3500円、同3人乗り4500円。エンジン付き1日9000円、3~6人乗りの大型同1万1000円。バスボート(エレキ、魚探などフル装備)同1万5000円。日釣り券1500円、年券1万8500円。昼食の「わかさぎ定食」(1600円=税別)はおすすめ。http://www.kojiri.com/