兵庫・家島諸島周辺でキス釣りが開幕した! 姫路の乗合船「知々丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で23日、同沖に出た。まだ、水温が低く食いは渋かったが、餌をいろいろ試しながらゆっくり上下に誘うとコンスタントに釣れ続き、大半の人が20匹以上キープ。竿頭で18~23センチを25匹釣り上げた。初期の釣果としては例年よりも格段に良くて好気配。水温の上昇とともにかなり期待できそうだ。

  ◇  ◇  ◇

春のキスは夏場のように簡単には釣れないところが面白い。まだまだ水温が低いので激しい誘いは禁物だ。ポイントの水深、キスの活性を見極めて餌の種類、たらしの長さを変え、ゆっくり上下に誘って食いを引きだす。

朝は水深約20メートルの浅場に入った。今年初のキス出船だけに群れがいるのかどうかドキドキでアタリを待つと心配ご無用とばかりにツンツンと心地よいキスアタリが竿先を震わせる。週一で知々丸に通う瀬尾広一郎さん(姫路市)がまっ先に23センチを食わせ、久しぶりのきれいなシロギスを手ににっこり。

ベテランの森山佳浩さん(加古川市)は3本針仕掛けで1時間ほどの間に18~23センチを7匹ゲット。底からチョイ切りのタナで仕掛けをゆっくり上下しては止め、アタリをとっている。「1度目のアタリを見送り、2度目で合わせるといいみたい。キスの活性が低いので、石ゴカイの1匹掛けで釣っています」と話す。

記者も、オモリで底をトントンとたたき、ゆっくり持ち上げながらアタリを待つ基本的な釣り方で20~23センチを4匹食わせた。キスは底を引く置き竿でも食ってくるが、匹数を伸ばすには誘いをかけて餌の存在を広範囲のキスにアピールすることが大事。

船長が風や潮の流れを見極めてどんどんポイントを移動していく。水深40メートルの深場では、グラスソリッドを削って作った自作の先調子竿を使う金戸和明さん(姫路市)がコンスタントにキスアタリをキャッチ。「初期は食いが浅いので食ったときに違和感の少ないソリッド穂先がいいんです。アタリが出ても、竿先を2度ほど送ってから合わせています。餌は深場で光る青イソメがいいよ」という。

一方、勝手知ったる常連の瀬尾さんは、キスのほかにも、マアジやメバルを連掛けで食わせる離れ技を披露。なんと18~23センチのマアジを17匹に20センチ級のメバルを3匹食わせてにんまり。「底にオモリが着く5メートルほど上でリールのスプールをサミングして仕掛けをゆっくり落とすとアジが釣れるんですよ。深場で試してみて」と教えてくれた。

日が高くなると、アタリが減ってきたが、深場はサイズが良く、左舷前方の安政誠さん(太子町)が22センチを手に「春は食いが渋いけど、サイズがいいのが魅力ですね」と笑顔をみせる。記者もベテランたちの釣り方を参考に20~23センチを10匹キープし、午後1時に納竿した。

竿頭は森山さんで18~23センチのキスを25匹に15~20センチのカサゴも8匹釣り上げた。夏の入れ掛かりもいいが、春のテクニカルなキス釣りもとても楽しい。サイズもいいので狙ってみてはいかがですか。【近江康輔】

【今後の見通し】4月に雨が少なかったせいか、キスの活性が例年よりも高く、初期から数が釣れている。釣行後、日増しに釣果が伸びており、27日には竿頭で40匹と好調だ。梅雨ごろまでは25センチ超も交じるので面白い。梅雨が明け、家島諸島でセミが鳴きだすと数釣りが本番を迎え、小、中型の入れ掛かりが楽しめる。

【問い合わせ】「知々丸」【電話】090・8827・3709。乗合船料金6500円。午前5時集合、同5時半に出船。氷付き。

【交通】姫路バイパスの中地ランプを出て南へ。今在家東の信号を直進し、陸橋を越え、最初の信号を左折。須加バス停前を右折。突き当たりを右折すると「知々丸」の駐車場がある。