山梨・西湖のヒメマスとワカサギ釣りがラストチャンスだ。その日によって遊泳層(タナ)が変わるヒメマスは、最大6本まで出せるサオを駆使して表層から底まで幅広く探る。大きな群れのいる場所を探り当てることができれば、制限の30匹も夢ではない。ワカサギは底付近にいる。丹念に誘って、多点掛けで100匹以上の束釣りを目指そう。春の解禁シーズンは5月31日まで。「白根」(渡辺安司店主=63)からボートを出して、ぽかぽか陽気の湖上でおかずを調達してみよう。

気まぐれな「おヒメさま」は意外な場所にいた。有望ポイントの1つ、クワルビ沖。タナは水深20~30メートルの宙層から底付近と思いきや、7~8メートルの表層に浮いていた。「(舟べりに取り付けた)魚群探知機は20メートルとか30メートルで反応があるんだけど」。湖上の釣り人からはこんな声も聞かれた。大きな群れを探り当てても、それがすべて高活性というわけではない。

「夏にかけて陽気が良くなる今の時期のヒメは原則、底の方にいます。ただし、エサを求めて表層付近まで幅広く泳ぎ回る。魚探に映らない小さな群れでも、遊泳層にエサとなるプランクトンが豊富にあって食い気が立てば、針に掛かります」。見回りに来ていた渡辺店主がこうアドバイスした。

5人で3隻のボートに分乗していたグループの1人で、計8匹を確保した大石一夫さん(52=埼玉県伊奈町)は、「最初20メートル前後で食った。次第に周囲ではタナ7~8メートルという声が出たため、2本出したサオの仕掛けをそれに合わせてアタリを拾った」と言う。グループでトップ、14匹だった松本明義さん(52=同東松山市)も同じだった。

遊泳層を当てるだけでなく、微妙な変化にも敏感になってサオ先に集中した。朝から快晴無風だったのが、午前10時ごろから南西の風が吹き始めた。鏡のようなナギだった湖面にさざ波が立つ。人間にとっては快晴無風の方がありがたいが、釣りではこれが好機になる。水がかき回されるだけでなく、獲物の警戒心が薄れるからだ。ぱたりと止まっていたアタリが出て、サオを絞り始めた。

付けエサのイクラをどんどん交換してあらゆる遊泳層を探り、アタリを待って遊泳層を絞り込む。この読み合い、駆け引きこそが「おヒメさまハント」の楽しみ。ヒメが興味を示してくれれば、午前中で制限の30匹に到達という例もある。

◆白根【電話】090・4917・4480。受け付け午前4時から。出舟午前5時、岸着午後5時。ヒメマスは制限匹数30匹。コマセ禁止、サオは1人6本まで。仕掛け1枚400円。手こぎボート1日1人3000円(2人乗り同4000円)。日釣り券は男性1700円、女性と中学生850円、小学生以下無料。http://www.himetoro.com/

<渡辺店主のヒメマス釣りアドバイス>

◆水深 水深計がない場合、仕掛けを底まで落としてリールを巻き上げ、巻いた数を記憶する。2回目は、その半分の数だけ巻き上げれば宙層で仕掛けを止められる。

◆ボートを揺らす 風や波が少しでもあれば自然に揺れるが、ベタナギの場合は自分の体を左右に揺らして仕掛けを上下させると、誘いになる。

◆トローリング サオの角度を45度ではなく、20~30度にして、少し速めに引くと反応良く食ってくる。

◆サオ アタリの取りやすい先調子のサオはバレやすい。むしろ、マダイやヒラメを狙う軟調胴調子で、オモリ負荷30号のサオの方が針掛かりしやすい。