あなたの釣り方はテンヤ? エギ? 東京湾のマダコがシーズン真っ盛りとなっている。3年前に突如として巻き起こったフィーバーは、今年もまだ続いている。場所によっては地元漁協の取り決めでテンヤに限定されたり、サオを使った「エギタコ」と併用できる釣り宿もある。ダイレクトに感触が伝わるテンヤを釣り初心者の川田和博記者(51)、ルアーのようにしっかり掛けるエギタコを沖釣り歴30年にして初釣戦の赤塚辰浩記者(57)が、それぞれ体験してみました。

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富津・みや川丸(宮川淳船長=61)でテンヤマダコ釣りに挑戦した。そもそもマダコ釣り自体が初めてで、「えっ、タコって釣れるんですか?」の素人だ。

みや川丸では釣りざおを使わない。いわゆる手釣りだ。仕掛けは、重り50号で2本針のテンヤに餌のカニをくくりつけた宮川船長自作のテンヤを渋糸に結んだものだ。釣り方は「テンヤを投入して着底したら、ひたすら小突く。魚のようなアタリはなく、テンヤにマダコが乗った重量を感じて重くなったと思ったら、数秒待って合わせてください」と宮川船長。「釣りあげる時は一定のスピードであげること。タコが船に張りつくとはがれないので、船から距離を取ってあげてください」と続けた。

最初は根掛かりか、乗ったのかが全く分からなかった。「乗ったかな…?」。期待と不安で合わせると「スカッ!」と抜ける。油断して根掛かりすると、宮川船長が巧みに船を操舵(そうだ)し、外してくれる。この技には驚いた! 誘うこと約2時間。明らかに重くなった。「乗った!」。5秒ほど待ってフッキングすると、グンと右手の人さし指に重さが伝わる。「船長、来た!」。タモを持った宮川船長がかたわらで待つ。海面に姿が見えた瞬間、タモですくいあげてくれた。初マダコは700グラムと小ぶりだったが、あの引きはクセになりそうだ。

隣では常連の久我良三さん(75)が、この日最大となる2・1キロを取り込んだ。「小さいけど1匹目をあげていたので、安心して大きいのを狙えた。2・1キロは重かったよ!」と満面の笑みを浮かべた。

手釣りの魅力は、なんといってもダイレクトにマダコの重さを感じられること。宮川船長も「それが一番でしょう!」とアピールした。みや川丸では、渋糸&テンヤはレンタル可能。用意が必要なのは、渋糸を手繰る際に指を保護する指サックだけという手軽さも魅力だ。

この夏休み、家族で挑戦してみませんか?【川田和博】

<基本仕掛けとテクニック>

◆ロッド 専用ロッドが理想。ない場合はタチウオのテンヤ釣り、シロギス用の先調子でも対応可能。長さは2メートル前後。

◆道糸 PE2号。ショックリーダーはフロロ10号目安。長さ0・5~1メートル。根がきつい場所ではがすのを想定して、太めを選ぶ。

◆エギ 3・5号が標準。装着数が多いと乗りやすいが、ラインが切れた場合、痛い。色は「白の反応がいい」とされる。

◆根掛かり 岩礁地帯を狙うのでツキモノ。疑わしきは合わせる。

◆獲物が乗ったら 一定のペースで巻く。これは、一定のペースで船べりで手繰るテンヤと同じ。ただし、足の吸盤が船べりにくっつきやすいため、テンヤは取り込みの際に不利。ロッドは長さと弾力がある分、タモ取りしやすい。

○軟体動物のマダコは、1ミリでもすき間があれば逃げ出す。釣れたらネットに入れて口を固く結んでおく。ポイント移動の際や港に着いた後、頭を返して内臓、スミ、目玉、クチバシを除いて下処理する。スーパーなどで精肉や豆腐を買った時に使うビニール袋に入れ、冷凍保存。1年は持つ。食べたい時に解凍する。その際に水道水で流せば、ヌルは簡単に洗い落とせる。

釣ってすぐに食べたい場合、粗塩や米ぬかを用意。これらを足にまぶしてヌルを取る。

▼富津「みや川丸」【電話】0439・87・4137。マダコは受け付け午前5時、9500円、女性&中学生以下6500円(貸しテンヤ、貸し渋糸、持ち帰り用ネット、氷、下処理レシピ付き)。受付場所は船宿ではなく、乗船場。富津漁港協同組合を右手に見た約200メートル先の「みや川丸乗船場」看板を右折した富津岬側堤防先端。無料駐車場あり。第3金曜日定休。7月に臨時休業あり、8月16日はお盆休み。http://www1.plala.or.jp/amiya/index.html