あなたの釣り方はテンヤ? エギ? 東京湾のマダコがシーズン真っ盛りとなっている。3年前に突如として巻き起こったフィーバーは、今年もまだ続いている。場所によっては地元漁協の取り決めでテンヤに限定されたり、サオを使った「エギタコ」と併用できる釣り宿もある。ダイレクトに感触が伝わるテンヤを釣り初心者の川田和博記者(51)、ルアーのようにしっかり掛けるエギタコを沖釣り歴30年にして初釣戦の赤塚辰浩記者(57)が、それぞれ体験してみました。

     ◇     ◇

底をはっていたオモリ20号の感触が不意に止まった。ズンッと、マダコがエギに乗った感触が伝わる。ロッドをあおると、明らかに獲物は掛かっていた。

エギタコ船に乗った千葉寒川「小峯丸」(小峯翔大船長=34)で出船前、右舷ミヨシ(最前方)の若林啓祐(けいすけ)さん(66)に教えてもらった通りだった。

立て続けに2匹乗せたが、針掛かりが浅く、海面で痛恨のバラシ。見かねた小峯船長が飛んできた。「赤塚さん、アタリは取れているし、慌てて合わせず、ゆっくり5つ数えてください。そうすればエギを十分に抱くので、ゆっくり合わせればしっかり乗ります」。

アドバイスが効いた。エギに触手を伸ばしただけの軽い「おさわり」での合わせをグッとこらえる。少し待って合わせると、スナップに2個装着したエギをしっかり抱き、マダコは上がってきた。うまく連続で乗せ、初のエギタコで2匹をゲット。これ、面白い。

周りを見渡せば、船下で小刻みに小突いて誘うだけでなく、チョイ投げしている。道糸を張らず緩めずの状態でズルズルと底をはわせて引いている。岩場に潜んでエビや小魚をエサとするマダコの前にエギを通し、アピールする。この釣り方で右舷トモ(最後方)の辻村良三さん(50)は13匹を確保した。「広範囲に探った方が数が伸びる」と話した。

数だけでなく、一発大物もきた。辻村さんの手前にいた坂本順一さん(61)と、右胴の間の石井健一さん(50)は、活性が高くなった正午すぎに相次いで1・7キロを乗せた。お互いにエギの数を張り合い、6個、7個と増やしていた。「エギは数が多ければ多いほどアピールしやすい。8本の足のどれかが刺さる確率も高く、バラシが少ない」(坂本さん)。「根掛かりかなくらいに思って、道糸が動かなくなったら乗った合図。このモタれる感じが面白い」(石井さん)。

東京湾のエギタコは、3年前のマダコフィーバーとともに始まった。誰もが楽しめるし、まだまだ開拓の余地はある。

【赤塚辰浩】

<基本仕掛けとテクニック>

◆ロッド 専用ロッドが理想。ない場合はタチウオのテンヤ釣り、シロギス用の先調子でも対応可能。長さは2メートル前後。

◆道糸 PE2号。ショックリーダーはフロロ10号目安。長さ0・5~1メートル。根がきつい場所ではがすのを想定して、太めを選ぶ。

◆エギ 3・5号が標準。装着数が多いと乗りやすいが、ラインが切れた場合、痛い。色は「白の反応がいい」とされる。

◆根掛かり 岩礁地帯を狙うのでツキモノ。疑わしきは合わせる。

◆獲物が乗ったら 一定のペースで巻く。これは、一定のペースで船べりで手繰るテンヤと同じ。ただし、足の吸盤が船べりにくっつきやすいため、テンヤは取り込みの際に不利。ロッドは長さと弾力がある分、タモ取りしやすい。

○軟体動物のマダコは、1ミリでもすき間があれば逃げ出す。釣れたらネットに入れて口を固く結んでおく。ポイント移動の際や港に着いた後、頭を返して内臓、スミ、目玉、クチバシを除いて下処理する。スーパーなどで精肉や豆腐を買った時に使うビニール袋に入れ、冷凍保存。1年は持つ。食べたい時に解凍する。その際に水道水で流せば、ヌルは簡単に洗い落とせる。

釣ってすぐに食べたい場合、粗塩や米ぬかを用意。これらを足にまぶしてヌルを取る。

▼千葉寒川「小峯丸」【電話】043・222・6557。マダコは出船午前6時、9000円(氷付き、女性と中学生以下は2000円割引き)。釣れたマダコを入れるネットは各自持参。ファスナー付きの洗濯ネットが使いやすい。宿と港の場所が離れており、車の場合は港(住所=千葉市中央区寒川2の203の3)に直接集合。電車の場合、JR本千葉駅から送迎サービス(応相談)あり。http://kominemaru.com/