穏やかな海に大小の島々が点在する家島諸島の素晴らしい風景を眺めながらキスの数釣りを楽しもうと先日、姫路の乗合船「知々丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で同沖へ出た。雨続きで海が濁り、キスの活性が低く、餌取りも多くて苦労したが、ベテランたちがあの手この手で奮闘。餌持ちのいい、青イソメを餌にした人が釣果を伸ばし、竿頭で17~25センチを53匹釣り上げた。家島沖は水深があり、ポイントがたくさんあるのも魅力。水潮さえとれれば、再びキスの活発な食いが期待できる。

朝イチから入れ掛かりのはずが、まったく反応なし。川の水が大量に流れ込んだようで、透明度の高い家島沖の水が白っぽく濁り、空には雨雲がたれこめる。かなりのローライトで苦戦が予想された。それでも、2時間ほどすると海中が明るくなってきたようで、ポツリポツリと釣れだし、ベテランたちが技をみせた。  水深は40メートル前後。基本的な釣り方は底を数回たたいて誘い、仕掛けの長さ分をゆっくり引き上げて食いを待つというもの。特に目を引いたのは、週1で知々丸に通う船首の瀬尾広一郎さん(姫路市)。誘いをかけたあと、潮の速さに合わせて仕掛けの引き上げ幅を変えながら(速いと少し、緩くなると多め)次々にアタリをとっていく。

ヒットパターンは餌持ちのいい、青イソメを餌にした3本針仕掛け。1つ目の針(オモリ寄り)はたらし長め、次はやや長め、3本目は短めにすることで最初に1本目の針を食わせ、連掛けの確率を高めている。その効果は干潮前の時合に表れ、ダブルを連発し、一番乗りで40匹を達成した。

他のベテランたちも負けじと竿を曲げる。金戸和明さん(姫路市)は底を多めにたたいて(10~15回)、キスにしっかりアピール。そのあと、10~15秒のロングステイを入れ、ゆっくり引き上げることで3連掛け。「きょうは誘いまくってしっかり待つ。これしかないね」と懸命に竿を振っていく。

船尾では連掛けが得意で最高170匹の釣果記録を持つ、真木等さん(姫路市)が奮闘。トラブルがないようにエダスの長さを極力、短くした自作の3本針仕掛けで瀬尾さんを追う。「1匹目を掛け合わせたら、しっかり待つことが大事。でも、きょうは食いが浅くてなかなか連で食わないね。青イソメのほうがいいみたい。餌取りのフグも多いので、石ゴカイでは餌が持たないよ」と悔しがる。

記者も、真木さんに指導を受けながら20匹ほどキープ。誘ったあと、竿をゆっくり引き上げながらアタリを待つときの期待感が、キス釣りのだいご味だなと、あらためて感じた。潮が止まると、さすがにアタリがなくなり、込み潮に期待したが、午後1時までポツリポツリの状況で納竿。

結局、青イソメが当たり餌となり、連掛けで数を伸ばした瀬尾さんが竿頭でフィニッシュした。この日はキスの他にも、刺し身が絶品の50センチのコチや煮つけがおいしい35センチのグチなどを釣る人もあった。水潮さえなくなれば、まだまだ数釣りが楽しめる家島沖。釣期は例年9月末まで。リベンジを誓い、沖をあとにした。【近江康輔】

【問い合わせ】「知々丸」【電話】090・8827・3709。乗合船料金6500円。出船は午前5時半。納竿は午後1時。

【交通】姫路バイパスの中地ランプを出て南へ。今在家東の信号を直進し、陸橋を越え、最初の信号を左折。須加バス停前を右折。突き当たりを右折すると「知々丸」の駐車場がある。