厳寒期に向け、肝をたっぷり蓄えた良型のカワハギを狙おうと和歌山・湯浅栖原の「かるも丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)で21日、中紀・日ノ岬沖、白崎沖へ出た。当日は風も波もなく絶好の釣り日和だったが、水温が高くて餌取りに苦戦。それでもオモリを底につけ、ラインを張らず緩めずにして探るゼロテンション釣法やたたき釣りなど、あの手この手で奮闘。午後2時半までに竿頭で20~27センチを13匹釣り上げた。カワハギはこれからが本番。お鍋や肝しょう油の刺し身にすると絶品ですよ。

小さな口で上手に餌をかすめ取るカワハギ。そんな餌取り名人のヒットパターンを見つけだし、微妙なアタリを掛け合わせた瞬間の気持ちよさがたまらない。午前7時半ごろ、日ノ岬沖の水深約40メートルのポイントに入った。状況は上り潮がゆっくり流れている。さっそく、佐藤友則船頭の合図で流し釣りを開始した。

まず、竿を曲げたのはカワハギシーズンになると月2回ペースで通う船首の高岸悟さん(大阪市)。オモリが着底するとラインを張らず緩めずにして誘うゼロテンション釣法で腹パンの23センチをゲット。「カワハギは場所、時間帯によって変わるヒットパターンをいち早く見つけて掛け合わせるのが面白いんです」と話す。

その後も、食い込みのいいロッドを使い、カワハギの活性に応じてハリスの長さ、餌の硬さも調節しながら20~25センチをコンスタントに釣っていく。さすが、ベテラン。海の中のカワハギの様子が見えているかのような感じだった。30分ほどすると他の人も竿を曲げだし、記者も底を数回たたき、サオをゆっくり上下する誘いで25センチを釣り上げた。思わず良型を手にしてにんまり。このまま順調に匹数が伸びるかと思ったが、そううまくはいかなかった。水温が20度以上あるため、ベラやフグが活発になってきてペースダウン。

午前11時前には潮も止まってしまい、仕方なく場所替わり。白崎沖に入った。だが、こちらも餌取りに邪魔されながらの釣りになった。そんな中でも釣果を伸ばしたのは中オモリを使わず、下オモリの上にひらひらと動く集魚飾りを付けた仕掛けを使う船尾の西周杜さん(紀の川市)。

竿先に小さなアタリが出始めると、竿をシャクる誘いで餌取りをかわし、わずかな止めで22~25センチのカワハギを次々にゲット。納竿前には、この日最長寸の28センチを仕留め「この1匹だけでも釣りにきたかいがありました」と大喜びだ。

結局、竿頭は高岸さんで、ゼロテンションでソフトな誘いと止めを繰り返し、午後2時半までに20~27センチを13匹釣り上げた。餌取りが邪魔をして匹数は伸びなかったが、肝が大きくて食欲をそそられる良型ぞろいの釣果に満足した。【中村和嗣】

◆カワハギ まさに釣ってよし、食べてよしの好ターゲット。餌だけを上手に吸いとってしまい、針掛かりさせるには腕の差がはっきり出ることから、船釣りの人気のターゲットになっている。薄造りはフグにも負けないほどおいしい。肝をといたネギポン酢で食べると、濃厚な味わいが病みつきになる。

【今後の見通し】カワハギは水温が18度を切ると本番だ。潮が適度に動く日なら、活性が高くなり、数が伸びる。サイズは20~26センチが中心で30センチ級も狙える。釣期は例年5月の末まで。

【問い合わせ】かるも丸【電話】0737・62・3527。乗合船料金は1人1万1000円(氷付き)。餌、仕掛け別。餌1パック500円。港に午前6時に集合。

【交通】車は阪和道の有田ICを出て国道42号を南下。湯浅交差点の信号を右折。北橋を右折(かるも丸の看板あり)道なりで進み栖原港へ。