アニキこと俳優哀川翔(60)が神奈川・八景「太田屋」(太田一也船長=53)で初釣りに挑んだ。マダイ中心の五目狙いとなったなか、船中最大となる4キロのワラサを久里浜沖で釣り上げた。北からの風が時折強く吹き、海面も波立っており、良好とはいえない状況のなか、タイミングを的確にとらえた。本命の「尾頭付き」は不発だったが、大物ゲット。こいつは春から縁起がいいようで。

ワラサがいきなり食ってきた。午前10時すぎ、右舷ミヨシ(最前方)から2番目に陣取ったアニキの軟調子のサオ先がほぼ垂直に曲がり、海面に突き刺さる。久里浜沖の水深約30メートル。「デカイぞ」。大きくアオって合わせた。電動を途中から手巻きに切り替え、慎重にやりとりする。ユラッと青い背中が海面近くで見えた。タモに取り込まれたのは、4キロのワラサだった。

午前8時すぎの第1投目から船内は活況だった。釣り仲間で右舷ミヨシのエイジさん、左舷ミヨシから2人目のノブさんも、左舷ミヨシのスギちゃんもイナダ、ワラサを次々とゲットしていく。最初にバラしたアニキ、次の投入では電動でしっかり巻き上げ、2キロのイナダを確保していた。

ところが、その後3連続でアタリはあっても取り込みの途中でバラしていた。「電動で切られていたし、手巻きで一定のペースで回収したのがよかったな」と、新年1発目の大物に顔をほころばせた。

この時期のマダイ五目、本命の「尾頭付き」はもとより、ワラサが食うことが多い。ポイントに居候していると思われる群れのスイッチが入ると、パワーと魚体に物を言わせてほかの魚種を蹴散らし、先に食い付いてくるからだ。

誘い方は2通り。太田船長の指示ダナよりも5メートルほど下に落とし、コマセを振って指示ダナまで巻き上げて誘う。「コマセカゴの目は細かめのものを使い、下の隙間は閉めても構わないです。上の穴からコマセとなるオキアミが1匹、また1匹とポロポロ出て行くくらいでちょうどいいです」(太田船長)。ドバッと一気に出してしまうと群れが散ってタナ(魚の遊泳層)が安定しない。フグやウマヅラハギといったエサ取りの外道も針掛かりする。外道対策のため、常連さんは指示ダナでコマセカゴをピタッと止め、波と船の揺れに任せてコマセを出す釣り方をしていた。

アニキのバラシはいろいろだった。やりとりしながらサオの弾力を利用してアオったタイミングで獲物も下に潜ろうと抵抗し、「引っ張りっこ」の状態になってのハリス切れ。針掛かりが甘く、頭を振って暴れたために針が伸ばされていた。途中で電動の巻き上げが緩んだ際、サメにかっさらわれての泣き別れ。

「4回もバラしたのは悔しいし、本命のマダイらしきアタリも1回逃して結果的に釣れなかったけど、ブリしゃぶができそうなサイズが釣れて満足だよ」。帰港後の検量で、4キロのワラサはこの日最大だった。

2020年は東京湾でのLT(ライトタックル)アジ、タチウオ、熱海でアマダイ、イサキ狙いで食ってきたイシダイ、外房でのヒラメと釣ってきた。「昨年釣れなかった魚も今年は釣ってみたい。もっとデカイのを狙おうか」。

ワラサは、ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと大きくなるにつれて魚名が変わる「出世魚」。アニキもさらなる大物や数釣りを目指して、還暦を過ぎてもまだまだ挑戦ならぬ、「釣戦」が続きます。

◆船 「太田屋」【電話】045・782・4657。マダイ五目はコマセ・氷付きで1万1000円。ルアータチウオは氷付き9500円、いずれも午前7時15分出船。ライトタックル(LT)アジは午前(出船時間は同じ)、午後船(午後0時15分出船)があり、コマセ・氷付き6500円。このほか、スポットでルアー青物などもあり。こちらは要確認。